58 アンダードッグ効果 「判官びいき」の心理現象

小学校の徒競走やマラソンで、最後尾で走る子どもたちの姿を見ていたら無意識に拍手や声援を送って応援していたという経験はありませんか。

 これは「アンダードッグ効果」の影響です。劣勢または不利な立場の側を応援したくなる心理現象です。日本に古くからある「判官びいき」と同じ意味です。

 最近の事例では、コロナ禍で売り上げ不振に陥った飲食店や、活躍の場を失った音楽関係者などに対し、購入やSNS拡散などで支援する「応援キャンペーン」に参加したくなるのはこの心理の影響です。ほかにも例えば、オリンピックで、国力に劣る小国の選手が必死に競技に挑む姿に送られる大歓声や、甲子園大会で、大量リードされたチームに対して一般の観客がこぞって送る声援も同じです。

 選挙で劣勢に立たされていると報道された候補者が予想を上回る得票で当選したケースもこの心理が働いたと思われます。最近広まっている「クラウドファンディング」で、ベンチャー企業や発明品の開発、アーティストのプロジェクトなど、団体や個人の活動に不特定の人たちが賛同して財源を提供し、支援する心理には「アンダードッグ効果」が影響していると考えられます。

 本連載で以前、これと全く逆の働きをする心理として「バンドワゴン効果」を紹介しました。パレードの先頭で音楽を鳴らしながら走る「バンドワゴン」についていく群衆のように、強い対象に従う心理です。

 「人気の勝ち馬に乗る」行動であり、苦戦する対象を支える「アンダードッグ効果」とは反対です。

 人間の心の中では、このように、時に全く逆の心理が働きます。矛盾していると思うかもしれませんが、仮に世の中が「バンドワゴン効果」だけで動いていたら社会はどうなるでしょう。強者は常に強く、弱者は永遠に弱い立場を覆せないかもしれません。世の中の「格差」は広がり続けることでしょう。人間の複雑な心理の中では、もしかしたら、社会が不幸な方向に進んでしまう状況を避けるよう、無意識のバランスが働いているのかもしれません。

マーケティングコンサルタント


2021年9月25日号掲載