1980年前後生まれ以降の人々を「デジタルネーティブ」と呼ぶことがあります。
学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境で育ってきた世代です。彼らは、ネットで情報を得るのが当たり前です。例えば商品を買う時、デジタルネーティブは、ネットの口コミ情報を自然に利用します。
ネットが日常生活に普及するまで、人々は新聞やテレビなどマスメディアの情報や、知人らから直接聞く情報を頼りに判断していました。こうした違いは、時代に伴う情報通信技術の変化によるものです。結果的に、時代によって「情報の使い方」は異なります。
しかし「情報の信じ方」に関しては、全ての世代に共通する癖が一つあります。本人から直接発信される情報よりも、直接利害関係のない第三者から間接的に伝わる情報のほうを信頼する傾向があるのです。これを「ウィンザー効果」と呼びます。
由来は、作家アーリーン・ロマネスのミステリー小説「伯爵夫人はスパイ」の登場人物、ウィンザー伯爵夫人のせりふ「第三者の褒め言葉がどんなときも一番効果があるのよ、忘れないでね」というものです。
現代に暮らす私たちは、どの世代であってもこの「ウィンザー効果」に注意しなくてはいけません。特に、ネット通販サイトで商品の評判を調べる場合です。商品レビューは、メーカー担当者の発信でなく、購入者など、直接的に販売に関わらない第三者が書いたと考えるのが自然なので、「ウィンザー効果」が働いて素直に信じたくなります。
ところが、時に当事者もしくは関係者が一般人を装ってレビューを書いていることがあります。日本人が書いているはずのレビューに、間違った言葉使いの日本語の意図的なレビューを目にしたことはありませんか?
現代はネットのおかげで、多くの情報を自由に得られます。しかし、自由な情報発信の中には、「ウィンザー効果」を利用し、第三者が発信したかのようにして情報操作しようとしている人がいることも忘れてはいけません。
「ウィンザー効果」の影響を頭において、情報の信ぴょう性を、特に「本当に第三者からの情報か」を慎重に判断することが大事です。
マーケティングコンサルタント
2021年9月18日号掲載
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