52 スポットライト効果 注目されたと思い込み…

イメチェンをしようと髪型を変えたのに、職場や学校で注目されず不満に思った経験はありませんか。

 自分自身の変化が、自分が意識しているほどには他人に伝わらない原因は「スポットライト効果」にあります。

 これは、自分が実際以上に他から注目されていると錯覚してしまう心理です。この影響を受けると、まるで自分にだけスポットライトが当てられ、そこにいる人は皆、自分に注目していると考えてしまうのです。

 心理学者のトーマス・ギロビッチ教授は1999年、この心理を確かめる実験を行いました。人々がアンケートに答えている教室にTシャツを着た被験者が入り、どの程度注目されるかを調べます。Tシャツの胸には、当時、(有名でヒット曲も多いのですが)若者に「ダサい」と思われていた歌手バリー・マニロウの顔写真が大きくプリントされています。しばらくして被験者は再び、人々の前を通って教室から出て行きます。

 後で教室にいた人に聞いたところ、Tシャツの顔写真に注目した人は全体の21%でした。ところが被験者自身は、46%の人に注目されたと感じたと答えたのです。

 この実験には、全体の様子を見届ける観察者もいて、Tシャツに注目した人がどの程度いたか尋ねたところ、推定値は22%と、教室にいた人の回答(21%)とほぼ同じでした。つまり自分が注目されていると感じる割合は、客観的な事実の2倍以上だったわけです。

 この心理は現実社会でもよく見受けられます。例えば「会議での発言が無視され、正当に評価されなかった」と不満を持つケースです。これは、自分の発言内容は注目されていると思い込んだ「スポットライト効果」の影響かもしれません。

 また家庭では、家族が親切にしてくれたのに、感謝の言葉を言いそびれたケースです。親切なことをしたほうは自分の行為が注目されたと感じています。感謝を表さないと無視されたと感じ、その思いが不満となって鬱積しかねないので要注意です。

 「スポットライト効果」の観点から、自分と他人との気持ちにはギャップがあることを知っておいてください。職場や学校、家庭で、良好な人間関係を保つのに役立ちますよ。

 マーケティングコンサルタント


2021年8月7日号掲載