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27 ご縁

「ケア・フレンズ長野」に参加 国際協力NGOの拠点に

東ティモール・リキシャ県の小学校を訪ね、現地の言語で書かれた学習雑誌を配布した。後列左から2人目が私=2017年10月

 2006年に旅館からレストラン・結婚式場「THE FUJIYA GOHONJIN(ザ・フジヤ・ゴホンジン)」に業態転換してしばらくしてからのことです。みすずコーポレーション会長夫人の塚田稲子さんが訪ねていらっしゃいました。子どもの学校では時々お見かけしていましたが、直接お話ししたことはありませんでした。

 お話の内容は、世界的ネットワークを持つ国際協力NGO「ケア・インターナショナルジャパン」(東京都)を支援する団体を長野につくるに当たって、「フジヤ」を拠点に活動したいのだけれど協力いただけないか—というものでした。旅館の仕事が終わり、少し余裕のできた自分の時間で何かボランティアをしたいと考えていた私にとってはちょうどよいお話でした。

 団体は発展途上国で貧困や災害に苦しむ人々の支援と持続的な発展を目的に活動していました。私は、地球規模の支援活動を行う「ケア」の精神に強く動かされ、塚田さんを中心にした発会のメンバーに参加させていただくことにしました。

 08年6月から「ケア・フレンズ東京」の例会やバザーなどの活動に参加したり、ケア・インターナショナルジャパンの理事や事務局長に長野まで来ていただいて指導を受けたりしながら1年余り研修を積み、翌年9月、フジヤで発会式を行い、18人で「ケア・フレンズ長野」が発足しました。

 レストランフジヤが協力して会場を提供。月1回の例会をはじめ毎年講演会やチャリティーランチ会、バザーなどを開催。コロナ禍の間も、人数を減らしたり、さまざまな工夫をしたりして、活動は1回も中止することなく続けています。また東京、岡山、大分、熊本、千葉などの姉妹グループの人たちとも交流。私が幼い頃に亡くなったツキ母の故郷熊本へは、ケアの交流活動で幾度も訪れることができ、とてもうれしく思いました。

 17年10月には、ケア・インターナショナルジャパンが支援を続けているアジア最貧国の東ティモールを訪ねる機会もありました。そこは02年に独立国となり、人口は120万人。国民の41%が貧困線以下で暮らす一方、人口の46%は15歳以下の子どもという若い国でもありました。地方の小学校で交流した子どもたちの清らかなまなざしに、この国の未来を感じました。

 「ケア・フレンズ長野」も来年15周年になります。塚田会長を中心に今は24人の大切な仲間と共に、世界の貧困に苦しむ子どもや女性の自立のために少しでも役立てるよう力を尽くしていきたいと思っています。

 今、私の家族の2人の子どもはそれぞれの道を進み、4人の孫たちも成人して自分の道へと歩を進めようとしています。また、フジヤでは150人を数える若いスタッフが、みんなフジヤを愛して働いてくれています。そしてフジヤに来てくださるお客さまはみなさんが「お料理がおいしかった」「スタッフが素晴らしい」と言ってくださいます。私はこれらのことが心からうれしく、安堵の思いでいます。

 私には40代の頃からおつきあいしている三つ年下のパートナーがいます。コロナ以前は、彼と一緒に国内外いろいろな所へ旅行してきました。春と秋の2回、大好きな京都へ行ったり、彼が好きな絵を見に美術館を巡ったりしてきました。忙しい日々を過ごす中、子どもたちの協力もありましたし、彼がいたことでとても潤いのある生活が送れました。

 これまでいろいろな人たちとのご縁があって、半世紀にわたる旅館業を経て今日に至っています。振り返れば、そのご縁によって本当に楽しく、有意義な時を過ごしてこられました。これからも人と人とのつながりを温かく紡ぐという藤屋の伝統を、ここにまつわる人たちに未来につないでいってほしいと願っています。

 聞き書き・中村英美


 藤井奎子さんのシリーズはおわり

 次回からは画家の小山利枝子さんです。


2023年5月27日号掲載

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