16 イオンの新商品開発
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16 イオンの新商品開発

地域おこしと位置づけて 身近な縁を感じることも

イオン中野店で、長野県のPRキャラクター「アルクマ」と一緒に「あんずサワー」をPR、販売した時の私

 私が2004年から務めているイオングループのアドバイザーの仕事の一つに新商品開発があります。

 昨年新発売した「愛媛ポンカンサワー」は、イオングループで愛媛県のご当地サワー開発の話が持ち上がった頃、ポンカンの産地・八幡浜市(愛媛県)の市長と知り合い、協力してもらうことができました。

 愛媛県と長野県はアンズを通じた縁があります。江戸時代、愛媛の宇和島藩から松代藩に嫁いだ豊姫(とよひめ)が故郷を思って持参したアンズが広まり、長野市松代や千曲市森の特産になったといいます。私は、この話を、ポンカンサワー発表会に来ていた愛媛県の中村時広知事に話しました。知事は少し驚いた様子で、「私の母は善光寺の宿坊の生まれです」と言いました。中村知事は、長野市出身の私が監修したポンカンサワーを「おいしい」と気に入ってくれました。

 イオン新居浜店(愛媛県)では一日で100ケース以上を売り、提携のスーパーを含めた全国のイオングループで30万本をわずか半月で売り切りました。イオンでは、新商品開発は地域おこしの一環という位置づけもしており、ポンカンサワーは愛媛県の地域産業を元気づけました。

 イオンでのポンカンサワーの販売会で私がPRしていると、アンズを通じて長野と縁があるからということで宇和島市長が訪れ、手伝ってくれました。これをきっかけに、宇和島特産のブラッドオレンジのジンを開発することになり、今年6月にイオンで販売しました。

 ポンカンサワーが成功を収めたことで、次に愛媛と深いつながりのある長野市松代や千曲市森のアンズを使った新商品の話が持ち上がり、「長野あんずサワー」を昨年発売しました。アンズの生産量が限られるため、今年はメルローサワーを販売しました。来年は、千曲市と宇和島市の姉妹都市提携50周年。ぜひとも、あんずサワーを再び販売したいので十分な量のアンズを確保するために走り回っています。このように、全国を回っていると地理的には離れていても身近な縁を感じることがあります。

 新商品発売の際には店舗に出てPR、販売することもアドバイザーの大切な仕事です。毎週土・日曜日、盆、年末年始は全国どこかのイオンのリカー売り場でPR、販売をしています。ただ売り込むだけではなく、私は販売をしながら接客のこつを売り場スタッフに教えています。声の掛け方やアプローチの仕方などを、手本となるように実践してみせます。全国のイオンを回っているため各店舗を比較し、改善点や品ぞろえのアドバイスもしています。

 また、全国のイオンにいる約100人のソムリエにも接客販売のノウハウを教えています。仕事の合間の昼休みなど、ちょっとした空き時間を利用して気付いたことを指導したり、後日、スタッフを集めてミーティングをしたりすることも多いです。

 イオンのリカー売り場には、「マスターソムリエ高野豊セレクション」の商品が約150種類あります。6本3980円のワインセットをはじめ、数万円するワインもあり、それぞれ人気があります。幅広いお客さまと接するスタッフにはお酒の知識のみならず、人間性も磨くような指導を心掛けています。

 聞き書き・斉藤茂明


2022年8月27日号掲載

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