かくかくしかじか
- 3 日前
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=2時間6分
長野グランドシネマズ(☎︎050・6875・0139)で5月16日(金)から公開

(C)東村アキコ/集英社 (C)2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
漫画家を夢見る「明子」 鬼教師と闘いの日々
人気漫画家東村アキコの自伝漫画で、2015年にマンガ大賞を受賞した「かくかくしかじか」の映画化。漫画家を目指す女子高生と、彼女の恩師との9年間の日々を笑いと涙で描いた。
絵が得意で漫画家を夢見る明子(永野芽郁)は、娘の才能を信じる父・健一(大森南朋)と母・伸子(MEGUMI)に絶賛され、勉強もせず、ぐうたらな日々を過ごしていた。美術大学が狭き門と知り、急きょ絵画教室に通う決意をするが、待っていたのは竹刀片手に指導する鬼教師・日高(大泉洋)だった。かくして明子と日高の熱い闘いの日々が始まった。
監督は小布施町出身の関和亮。人気アーティストのMV(ミュージュクビデオ)やCMなどを手掛ける気鋭の映像クリエイターだ。映画監督としては「地獄の花園」(2021年)に続いて長編2作目となる。

映画化に当たって原作者の東村自ら脚本を手掛けていることも話題の一つ。監督が原作のせりふが好きで出来上がった脚本は、東村の故郷の宮崎弁全開だ。脚本だけでなく美術監修、漫画の所作指導など全面的な協力を受けた。宮崎県のロケでは東村の親戚の家が絵画教室として使われた。母校の金沢美術工芸大学の旧校舎でも撮影が行われ、教授や学生たちが出演。セットでは出せないリアルな空気感が見どころだ。
怠け者の女子高生からプロの漫画家へと成長していくまで、10代から40代までを特殊なメークをせずに演じた永野芽郁と、厳しさの中に秘めた優しさをにじませる大泉洋。2人が織りなす師弟の絆が感動を呼ぶ。
関監督はインタビューに「自分の学生時代にも同じような怖い先生もいたが、愛のある厳しさだった」と振り返り、「これからもその時出合ったものを面白く映像にしてゆくことに挑戦し続けたい」と語る。すでに次回作「ベートーヴェン捏造」が完成し、今秋公開予定だ。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2025年5月10日号掲載