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所蔵品から「過去」と「未来」を見つめ直す

  • 5月16日
  • 読了時間: 3分

県立美術館が企画展

館蔵品を代表する荻原碌山の作品から、デジタル技術を用いて制作する平田さんの作品が並ぶ展示室
館蔵品を代表する荻原碌山の作品から、デジタル技術を用いて制作する平田さんの作品が並ぶ展示室

 長野県立美術館(箱清水)で、同館の所蔵品約5800点から選んだ50作家114点を、県ゆかりの3組4人の現代美術家の作品50点とともに紹介する企画展「再編する―NAMコレクションの現在」が6月7日(日)まで開かれている。同館の前身、信濃美術館の開館から60年、リニューアルから5年、長野県の誕生から150年の節目を記念する展覧会。担当学芸員の茂原奈保子さん(38)は「60年の長い歩みの中でかたちづくられた多彩なコレクションを通じて〝これまで〟と〝これから〟の美術館を見つめ直そうとする展覧会。コレクション作品と現代作家の作品とが響きあう様子を見てほしい」と話す。


 同館では21年以降、下諏訪町出身の前衛芸術家、松沢宥(ゆたか)(1922~2006年)や小川村出身の現代彫刻家戸谷成雄(1947~2026年)ら、それまで層が薄いとされていた戦後の県ゆかりの現代美術作品に着目して、収集と研究、展示に力を入れてきた。


 今回の最大の見どころは「既存のコレクション作品と現代作家の作品を組み合わせて、コレクションに新たな視点をもたらそうとする展示」だ。会場は「彫刻」「平面」「歴史」という三つのセクションで構成されている。


 彫刻セクションは、信濃美術館最初の収蔵作品で、館のシンボルとなった清水多嘉示の裸婦立像「躍進」と、21年のリニューアル時に設置され、県立美術館の新たな象徴となった中谷芙二子の「霧の彫刻」、2点の屋外展示を起点に展開。展示室には同館の彫刻コレクション36点と、インターネット上から収集したデータものを、コンピューターの仮想空間で組み立てて作品制作をする上田市出身の美術家・彫刻家平田尚也さん(34)の作品27点が並ぶ。平田さんは「コレクションとは時代も、制作方法、素材、バックグラウンドも違うけれど、存在とは何か、彫刻とは何かという共通したテーマが一貫してあると思う。過去から現代まで実はつながっている部分が、思いがけなく見えてくる展示になればいい」と話す。


 絵画を取り上げた平面セクションには、菱田春草、オノサト・トシノブ、池田満寿夫らコレクションの主要作家らの作品とともに、阿智村出身の古畑大気さん(38)と近藤佳那子さん(38)=三重県出身=のアートユニット「Barrack(バラック)」の作品24点を展示する。


 コレクション作品を取り上げながら美術館が立つ場所の歴史を改めて振り返るセクションでは、その土地にまつわる歴史や伝説、現象などを丹念に「リサーチ」して、新たな物語を語り直す語りのパフォーマンスの活動をする長野市出身のアーティスト佐藤朋子さん(36)が制作した映像作品を見られる。


 展示作品の2割はこの5年間に収集したもので今回初披露の作品も多い。「過去の名品から最新の表現までを一望し、これからの美術館の歩みに思いを巡らせる機会に」と茂原さん。


 5月24日(日)14時から、担当学芸員茂原さんによるギャラリートークを開催。参加無料、要観覧券。


 水曜休館。開館時間は9時から17時。観覧料は一般1000円、大学生と75歳以上800円、高校生以下または18歳未満無料。


 (問)同館☎︎232・0052


記事・写真 中村英美



2026年5月16日号フロント

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