THE BATMAN ザ・バットマン

=2時間55分

長野グランドシネマズ(☎︎233・3415)で公開中

(C) 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

不可解な連続殺人 犯人との頭脳対決

 犯罪都市と化したゴッサム・シティーの夜空に浮かぶコウモリのマーク。悪事を働くやからの前に現れたのは全身黒ずくめのマスクの男、バットマンだ。これまで何度も映画化されてきたアメコミ界のヒーローを主人公にマット・リーブス監督が手掛けた新作「THE BATMAN ザ・バットマン」では、バットマンの前に不可解な連続殺人事件の犯人が立ちはだかる。

 人前を避けるように孤独に暮らす若き大富豪ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は、犯罪者と闘うバットマンという裏の顔を持っていた。市長選挙の有力候補が殺され、リドラーと名乗る犯人からバットマン宛ての謎のメッセージが残されていた。バットマンの正義感を信じるゴードン警部補(ジェフリー・ライト)のシグナルで、犯行現場に姿を現したバットマンは、鋭い観察力でリドラーの出す謎々の答えを見事に解き明かす。だが権力者を標的とした連続殺人に、ゴッサム・シティーは混乱に陥ってゆく。

 少年時代に目の前で両親を殺されて心に傷を負い、苦悩する複雑なダークヒーローという生い立ちは変わらないものの、これまでの作品と大きく違うのは、ブルースがバットマンとして闘い始めた2年後が物語の舞台ということ。自身の復讐心と葛藤するナイーブな青年が犯人との頭脳対決でミステリーを解き明かしていく展開もこれまでにないバットマンの一面だ。

 疾走するバットモービルのスピード感あふれる追跡とアクションも見どころだが、不死身ではなく生身の人間らしさをのぞかせるヒーローが初々しくも痛々しい。バットマンを演じてきたスターたちの、マスクからのぞく顎のラインが印象的だが、パティンソンもほれぼれするようなシャープなラインだ。

 バットマンと対決するおなじみの悪役キャラたちも物語に絡んでいく。得体の知れないリドラー役ポール・ダノの狂気、キャット・ウーマン役ゾーイ・クラビッツのスリムでしなやかな美しさ。外見からペンギンとやゆされるオズ役のコリン・ファレルは特殊メークで誰なのか見分けがつかない変身ぶりだ。魅力的なビラン(悪役)に引かれ、続編への期待が大いに高まる。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2022年3月19日号掲載