SNSによる地域創生掲げ阿部知事に政策提案も
- 7月5日
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合同会社LocaLink代表 永井 心さん(23歳)

長野の魅力 インスタで発信
SNSで影響力、発信力のあるインフルエンサーに信州の魅力を届けてもらうことを狙い、県が4月に行った「県広報パートナー」の任命。これは、現在フォロワー数8万8千に上るインスタグラム「ナガノノ」を運営する市内在住の永井心(じん)さんが阿部守一知事に提案した構想が発端になっているという。「長野を盛り上げたい」という思いから、Uターンしてインフルエンサーを本業に活動する永井さんに、SNSを使った地域情報発信の可能性などを聞いた。
永井さんが明治大学進学のため上京して改めて感じたのは「長野の良いところ」だった。温かい人柄、自然の美しさ、水がきれいなこと…。卒業後の進路を真剣に模索していた大学3年の春休みに、「自分が本当にしたいことは何か」を考え、たどり着いた結論は「やっぱり長野を盛り上げたい」だった。

SNS関連の会社でアルバイトをしながら身に付けた知識を生かして、大学4年の2023年4月から、小中高の友人や3歳下の妹と共に、長野市の魅力をショート動画で伝えるインスタグラム「ナガノノ」を立ち上げ。開始からわずか35日間でフォロワー数1万人という驚異的な伸びを達成した。
昨年9月、松本市で行われた「信州みらいフェス」。若者向けのイベントに招かれて講演した永井さんは、阿部知事と話す機会に恵まれ、SNSを活用しZ世代に刺さる地域創生のための提言を直接伝えた。
今年初め、県の担当者から永井さんに連絡が来た。「一緒に取り組みたい」という。その結果、できたのが「長野県広報パートナー」だった。
4月、県は、ソーシャルメディアで活躍する長野県ゆかりのインフルエンサーとして、永井さんを含む21組に長野県広報パートナーを委嘱した。合わせるとフォロワー総数が116万にもなる「広報パートナー」が、企画段階から県と手を組み、若者の視点・発想で長野県の魅力や取り組みを発信していく計画だ。
インスタグラムのコンテンツは自分たちで決め、お店などとアポイントを取り、現場取材はスマホ1台で撮影し、編集もスマホでこなすという。
SNSには情報があふれている。スポットの当て方次第で驚くほどの人の注目が集まる。SNSというツールを使って地域のファンをつくり、「ここに行ってみたい」「あれがしたい」という思いを引き出し、長野の盛り上げにつなげていきたい。
永井さんは昨年、仲間と共同代表を務める合同会社「LocaLink」を設立。SNSによる地域創生を掲げて、全国各地に70アカウント、フォロワー数が累計120万のネットワークを運営している。「LocaLink」のネットワークを活用すれば、地域愛の輪は全国に広がり、全国各地が盛り上がっていく。そして新しい地域の創生へ。永井さんの思いは膨らむ。
記事・写真 児玉望
2025年7月5日号フロント