前回は血液型性格診断を例に、誰にでも該当する一般的な性格や特徴が自分に当てはまると思ってしまう「バーナム効果」を紹介しました。
A型は真面目、B型はマイペースなどと示されると、自分にあてはまると思い込むのです。
実は人間は、こうしたかたちで認識した自分の性格や特徴に対し、思い込むだけで終わらず、その通りに行動してしまうことがあります。「ラベリング効果」の影響です。これは周囲から貼られた、自分の態度や性格に関するレッテルに合わせて行動する傾向です。「ラベルを貼ること」を意味する「ラベリング」という言葉から名づけられました。
血液型性格診断の場合であれば、A、B、AB、Oなどの血液型がラベルやレッテルとなります。それらにおける典型的な態度や性格に、無意識に自分を合わせてしまうわけです。
過去に「ラベリング効果」を検証する、以下のような実験が行われました。参加者を無作為に2グループに分け、グループAには「あなたがたは投票を通じて政治に参加する意識の高い市民」であると告げ、グループBには「あなたがたは関心や行動に関して平均的な市民だ」と告げます。そのうえで各グループが「投票」に行く率を比較します。その結果、グループAの人はグループBより15%も投票に行く確率が高かったのです。
「ラベリング効果」は日常生活にも影響を与えます。「女の子なんだからおとなしくなさい」「男の子なんだから、活発に遊びなさい」と子育てにおいてラベリングをすれば、その子どもの性格や態度の形成に影響を及ぼす可能性があります。
「ラベリング効果」の影響力が強いのならば、可能な限り良い方向に使うべきでしょう。例えば子どもに「あなたは国語が得意だね」とラベリングすれば、子どもの態度に影響し、国語の成績が上がる可能性があります。部下に「君は仕事が早いね」とラベリングすれば、仕事をこなすスピードがさらに上がるかもしれません。人間心理を知るだけでなく、このように賢く活用することをぜひ、おすすめします。
マーケティングコンサルタント
2021年9月4日号掲載
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