50 ツァイガルニク効果 中断した事柄に強い興味

「テレビCMを見ていると、最後に「続きはウェブで」という言葉をよく聞きませんか。

 実際、ネットにアクセスすると、CM商品をより詳しく知ることができます。

 続きをウェブで見たくなるのは「ツァイガルニク効果」の影響です。これは人間が、達成できなかった事柄や中断した事柄のほうを、達成できた事柄よりもよく記憶する効果です。ツァイガルニクは、実験によってこの効果を証明した、旧ソ連の心理学者の名前です。

 「続き」をウェブで調べたくなるのは、テレビCMでは情報が不完全なまま終わっていると思うからです。

 同様にテレビ番組で結末やクライマックスを迎える前に「続きはCMのあとで!」と中断する場合もそうです。視聴者に、中断した事柄に強く興味をもってもらえるのです。

 1940年出版のロングセラー「アイデアのつくり方」に、この効果を活用した例が載っています。クリエーティブな仕事をする人々の間で有名なこの本ではアイデア開発の方法が紹介されています。まず資料を集め、読み込んだ後に、一度考えるのをやめます。その間に頭の中では、アイデアの開発が無意識のうちに行われるのです。

 著者は実業家で、人間の心理には言及していませんが、この方法はまさに「ツァイガルニク効果」を活用したものです。いったん考えるのを中断することで、アイデアの完成に向けた脳の活動が活発になるのです。

 この効果を理解すれば仕事にも役立ちます。例えば、最後までやり遂げてない仕事があると「ツァイガルニク効果」によって無意識に、その仕事のことを考え続け、脳に疲労がたまります。これを避けるために、その日の仕事を終えた後、仕事の続きとして何をするのかを翌日のスケジュールに書き込みます。仕事を区切り、翌日新たな仕事があると脳に認識させるのです。

 「ツァイガルニク効果」を理解し、うまく扱うことができれば、長時間頭を使い続けて疲労がたまる事態を避け、仕事を効率化させることもできるのです。

マーケティングコンサルタント


2021年7月24日号掲載