38 御柱祭でも句作


 先月、善光寺さんの御開帳を紹介したので、続けて諏訪の御柱祭も紹介しましょう。御柱祭は諏訪大社で7年ごと、寅と申の年に行われる行事です(本年は一部行事を変更して開催)。

 樅(もみ)の巨木16本を選定して山中から伐り出し、里へと運びます。これを「山出し」といい、柱の上に男たちを乗せたまま急斜面を滑り落とす「木落とし」が最大のハイライトとなります。また、柱が宮川を渡る「川越し」も見どころです。この「山出し」は4月上旬に行われます。


御柱祭八ケ岳に木遣の届きをり 渡邊那津


 木落としの始まる前のシーンなど、場を静粛にして盛り上げる際には、必ず張った声で「木遣り歌」が朗唱されます。諏訪衆は木遣り歌が大好きなようです。


御柱落すあめつち息をとめ  高木良多


 木落とし坂の斜度は27度とか。上から見ると目も(眩)(くら)むばかりです。

 その後の「里曳き」のほうは、長持行列や花笠踊りを交え、華やかさを加えつつ、神社の境内へと柱を曳き、最後に境内の四隅に四本の柱を立てて祭は終わります。こちらは5月上旬から中旬にかけて行われます。

 以上の日程からして、春に分類するのがふさわしいようにも思われますが、御柱祭は歳時記では夏に入っています。


蒼穹を天井にして御柱祭  矢島 惠


 春から初夏に掛けての青空の美しさが、勇壮な祭りのバックに映えます。


宮入りの傷だらけなる御柱  棚山波朗


 「木落とし」前の場面を見せてもらったことがあります。曳いてくる道中、柱は目処梃子(めどでこ)で小突き続けられているのです。魂入れをしているのでしょうか。道理で、柱は傷だらけです。


御柱男振り見せ父を継ぐ  森田公司


 諏訪の心意気の祭りを経て、男はたくましくなります。


2022年3月19日掲載