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28 祝日を題材に詠む


 4月末から5月初めにかけては大型連休です。これをゴールデンウイークと呼ぶのはもともと映画界の宣伝のために生まれた言葉なので、NHKでは用いないとか。今年はコロナ禍で外出自粛でしたので、一つ一つの祝日名で、俳句でも詠んでみませんか。


名画座の三本立てや昭和の日  原田 紫野


 4月29日は「昭和の日」。もとの昭和天皇誕生日が、昭和を思う日となりました。


ねむき子を負ひメーデーの後尾ゆく  佐藤 鬼房


 祝日ではありませんが、5月1日は「メーデー」。国際的な労働者の祭典ですが、盛り上がったのはもう昔。例句も既に懐かしい感じです。


憲法記念日天気あやしくなりにけり  大庭 雄三


 5月3日は「憲法記念日」。昭和22(1947)年に憲法が施行されたことを記念する日です。護憲・改憲論争の絶えぬ近年、改めて憲法の意義を問いたいものです。


体内の水の流れやみどりの日  和田 悟朗


 5月4日は「みどりの日」。一時期「国民の休日」といわれる名もない休みだった日に、めでたく意義が与えられました。新しい祝日で、まだ例句も少ないため、挑戦しがいがあります。


おとなしき馬狩り出され子供の日  佐藤 博美


 5月5日は「こどもの日」。子どもの人格を尊重し、その幸福を図る日です。元気に育て!


竹割つて竹の匂ひの端午かな  木内 彰志


 また、5月5日はご存じの通り「端午の節句」です。悠々と空を泳ぐ鯉幟(こいのぼり)を見ると、すがすがしい思いになります。


ふるさとの山を盾とす立夏かな  原  裕


 さらに「立夏」もこの時期にあたり、今年は5月5日。気象予報士さんが「暦の上ではもう夏です」という、あれです。初夏の気候は、何ともはつらつと、心躍ります。

 

2021年5月22日号掲載

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