26 前に進む原動力

出会いからビジネス拡大 アジア進出 日本の酒PR

中国広州のイオンモールにある「マスターソムリエ高野豊セレクション」コーナーで

 上信越自動車道須坂長野東IC近くに出店するイオンモールに「マスターソムリエ高野豊セレクション」が設置される予定です。県内のイオンモールでは松本店に次いで二つ目。長野市近辺の方にも気軽に訪れていただけるようになり、楽しみです。

 私は大手スーパーイオンのアドバイザーとして毎月1回、本社の販売会議に出席しています。ある日、本社内のコンビニで、当時関連会社の社長で東南アジア担当でもあった人と偶然出会いました。「元気?」と軽くあいさつを交わした後、私から何げなく「イオン中国の2店舗のほかに、東南アジアにも私の常設コーナーを設けて、日本のお酒を販売したいけれど…」と切り出すと快諾してくれました。今年12月、東南アジア最大級のイオンモールがカンボジアにオープンするのに合わせて東南アジア各地にある10店舗のイオンモールで、日本産ワインや日本酒、サワー、ブランデーなどが並ぶ「マスターソムリエ高野豊セレクション」のコーナーを常設することになりました。

 私は以前より、東南アジアでの展開を考えていました。今、日本中の自治体が、特にアジア各地に特産の農産品・食料品を輸出したがっています。商談会や現地で特産品フェアなどを打っていますが、1週間、2週間の短期間のため、その場限りで定着していませんでした。

 私が現地で常設コーナーを設ければ、日本側の窓口として、いつでも各地の特産品を投入できる態勢が整います。さらに、現地で販売するまでの手続きの全工程をマニュアル化すれば、リンゴやブドウなど、輸出したいけれどどうしていいか分からないという自治体などの助けになるだろうと考えました。特に、これからはアジアが非常に有望な市場です。私の常設コーナーを突破口に、日本の逸品を広めていきたいと思っています。12月にはカンボジアを皮切りに東南アジアの数店を回る予定。きっと大人気になるのではないでしょうか。

 東南アジアでの展開は、コンビニでの1分程度の立ち話が始まりでした。和歌山県の有田ミカンの原産地呼称管理制度の立ち上げも、「日本ワインを愛する会」に偶然居合わせた和歌山県選出の国会議員に長野県の成功例を数分間説明したことがきっかけでした。偶然の瞬間的なチャンスを逃しませんでした。

 「いい!」と思ったことはちゅうちょせずやってきました。高野総本店には「ほかがやっていないことをやる」との伝統があり、誰もやっていない未開拓のことにチャレンジするのは大好きです。東南アジアに打って出るのも当然の流れだったのかもしれません。

 私は、ワインに感動し、優れた栽培家や醸造家に出会い、その仕事ぶりへの尊敬をきっかけに関係を深めて、さまざまな助けを受けながら商品を開発し、ワイナリー立ち上げにも関わってきました。こつこつ実績を重ねることで、認めてくれる人が増え、多くの知事や市町村長、会社の社長などとも知り合うことができ、さらにやりがいの大きな仕事へと発展していきました。

 尊敬できるプロとの出会いが多いほど人間の厚みも増すと思います。出会いのチャンスは一瞬だったり、偶然だったりしますが、一言あいさつを交わさなければチャンスをものにできませんし、「ちょっとあの畑に行ってみようか」と思わなかったら栽培家にも出会わなかったはずです。人との縁、出会いが今の私の土台になっており、これからもそれを原動力に前に進んでいきたいと思っています。

 聞き書き・斉藤茂明


 高野豊さんのシリーズはおわり


2022年11月5日号掲載