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18 海外での評価

  • 5月24日
  • 読了時間: 3分

フランスで出展の機会 デザイナーとして自信に

スクリーブホテルのオーナー(左)と、作品説明する私
スクリーブホテルのオーナー(左)と、作品説明する私

 2000年5月、私は個展の開催とともにオリジナルブランド「OKAMASAKO」を立ち上げ、エコロジーデザイナーとして本格的に始動しました。


 この時42歳。長野冬季オリンピックでのショーを実現させた経験や産地とのつながりを生かし、本格的にビジネスとして、海外も意識しながら展開を始めたのです。小さいながらも拠点となる東京オフィス(ショールーム)を持ち、商品をスタイリストや雑誌社、専門店の人たちに紹介する中、時を経ずして、翌年にパリで開催する「ジャポニズムの未来展」のプロデューサーが来日。その人とは知人を通じて知り合い、作品集のポートフォリオを見ていただく機会を得ました。結果、驚くことにこのイベントへの出展のオファーをいただいたのです。


 海外の国々の中でも特にフランスを意識していた私にとっては思ってもみないチャンスとなりました。01年3月半ばからおよそ1カ月間、パリ・オペラ座地区の老舗ホテル「スクリーブ」で、日本の未来を表現するアーティストの一人として建築家とコラボレーションすることに。そこで私はテキスタイル産地の職人とゼロから共につくり上げた革新的な「ニューシルク」や、世界で話題を集めていたトウモロコシ由来のポリ乳酸繊維を使用した作品9点を展示することになりました。


カンヌでの展示衣装の撮影風景
カンヌでの展示衣装の撮影風景

 3月初め、通訳とコーディネートを協力いただく、長野在住のフランス人シルビー・ジャコさんと渡仏。フランスのリゾート地ドービルで開かれていた「アジア映画祭」で作品を展示紹介する機会にも恵まれました。そこからパリへと移り、スクリーブホテルを会場に「ジャポニズムの未来展」で衣装展示しました。


 足を運んでくださった現地の人たちからは「シルクの持つ柔らかな風合いを持ちながら機能的でアーティスティック。着物文化の技術が生きたとてもクールな作品たち」と言われ、その場で反響の大きさを実感することができたことはとても幸せな経験でした。


 その展示を見に来られたフランスを代表する老舗デパート「プランタン」のバイヤーから声がかかり、プランタンの催事場で行われるファッションショーにも参加。バイヤーが「マニフィック!(素晴らしい)」と拍手してくださったことは今もうれしさとともに覚えています。


プランタンのファッションショー
プランタンのファッションショー

 このように、紹介がまた次なる紹介へとありがたいことにつながり、5月には、カンヌ国際映画祭で作品を展示。レッドカーペットを歩く映画俳優のオーラにドキドキしながら、いつか私の衣装を着ていただきたいとも思いました。11月には韓国釡山国際映画祭に出られる韓国の著名な女優カン・スヨンさん(1966〜2022年)からの依頼でパーティー衣装を担当させていただきました。12月から翌02年4月まで仏・サンテティエンヌテキスタイル美術館「21世紀モード展」の日本代表3人の一人として選ばれ、5カ月間作品展示させてもらいました。


 私はこの1年間で海外7カ所の展示、エキシビションに参加することで、学校との両立、エキシビションの準備など時間に追われる毎日でしたが、自身の作品が広いフィールドの中で評価され、ブランドの成長やデザイナーとしての自信につながっていきました。

(聞き書き・中村英美)


2025年5月24日号掲載

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