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145 大室山

リフトで上り火口を周回

火口縁の遊歩道から、アーチェリー場になっている火口底を望む

 3月初めに妻と伊豆地方を旅行した際、静岡県伊東市の大室山(580メートル)に立ち寄った。伊豆東火山群のシンボル的な山で、以前訪れた韓国済州島の世界文化遺産、城山日出峰(ソンサンイルチュルボン=180メートル)によく似ている。

 小さいけれど端正な姿の大室山は、約4000年前の噴火で出たコークス状の火山噴出物でできたスコリア丘だ。日本にはあまりない1回だけの噴火による単成火山の典型例として、国天然記念物に指定されている。

 10時過ぎに熱海駅近くでレンタカーを借り、海岸線を南下。伊東駅の前を横切り、1時間余で伊豆高原の大室山登山口に。この山は山体と植生保護のため、徒歩での登山は禁止されている。


緑に覆われた大室山の全景=現地の看板から

 北麓からリフトで上がり、6分で山頂部に。直径300メートルの火口の縁には1周1キロの遊歩道が整備され、お鉢巡りができる。冷たい風が吹く中を時計回りに歩き始める。

 見下ろすと、火口の底はアーチェリー場になっていて、内側の中腹に浅間(せんげん)神社が祭られている。南側から西側を見ると、雪化粧した富士山が。雲がかかっていたのが残念だ。

 しばらく進むと、赤いよだれかけの「八ケ岳地蔵」が。その昔、近隣の漁師たちが伊豆大島に向き合うこの地に、海難防止を祈願して8体の地蔵を奉納したのがいわれという。山の八ケ岳とは関係ないようだ。

 この辺からは、晴れていれば伊豆七島や三浦半島、房総半島まで見渡せるという。だが、この日は相模湾が見えただけだった。

 少し先の南側が最高点で三等三角点がある。ここからは北側のリフト乗降場が正面に。手前の火口壁や山全体が黒っぽいのは、毎年2月中旬に行われる山焼きでカヤや草類が燃やされたためだ。


伊豆大島と向かい合う海難防止祈願の八ヶ岳地蔵

 下りに入り西側へ進むと、また5体の石仏「五智如来」が。江戸時代に麓の網元が、9歳で身ごもった娘の安産を祈願し、無事出産したお礼に安置したとされる。

 回り終わると「大室山」の木製看板があり、背後に富士山を入れた撮影スポットとなっている。寒さに震えながら写真を撮ったが、バックに富士山は写っていなかった。

 再びリフトで下山する途中、すれ違った上りリフトには外国人や犬連れのカップルが多かった。

 駐車場近くで満開の河津桜を見た後、伊豆の山中を縦貫する伊豆スカイラインを走り、次の目的地の柿田川公園へ。三島市の手前の清水町にあるこの公園は、約40キロ北の富士山に降った雨や雪が地下水となって湧き出る湧水群で知られる。

 園内を散策した後熱海へ向かい、市内で宿泊。翌日は熱海観光をして長野に戻った。

 横内房寿


2024年3月30日号掲載

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