紅葉と野尻湖の眺め求め
紅葉と野尻湖の眺めを楽しもうと、10月下旬の土曜日、信濃町と飯山市・新潟県妙高市境の斑尾山(1382メートル)に登った。北信五岳のうち、一つだけ東に離れて優美な姿を見せている。
山仲間6人が7時半に飯綱町の北しなの線牟礼駅前に集合。車2台に分乗して国道18号を北上。信濃町で野尻湖方面に入り、湖岸の道路を時計回りに右へ進む。
やがて遊覧船乗り場の対岸に当たる菅川地区に。そこから狭い道を上り詰めると、広い林道に出る。当初はこの林道の東側が登山口の荒瀬原コースから登るつもりだったが、駐車スペースがわずかなため、余裕のある菅川コースからにした。
8時半に登り始める。期待していた紅葉はやや遅かったようだ。登山道には落ち葉が多く、周辺のシラカバやミズナラなどは枝が目立つ。
30分足らずで釜石山の分岐に。ここで荒瀬原コースと合流。尾根道をしばらく進むと、ブナの木に取り付けられた「蟻のと渡り」の看板が。戸隠山の「蟻の塔渡」のように両側が切れ落ちたナイフリッジでもないのに、なぜこの名前が?
その先は右手にカラマツ林、左手に雑木林が続く。道幅が狭まり、急な岩場を登りきると、大明神岳(1350メートル)の山頂だ。
ここは、晴れていれば西側に野尻湖を見下ろし、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山の四岳を一望できる絶景スポットだ。この日はガスが湧き、視界ゼロ。ほかの登山者とガスが上がるのをしばらく待ったが、望み薄のため頂上へ向かう。左側は見事なブナ林だ。
ほどなく斑尾山の山頂広場に。2段になっていて下には石の祠があり、上には一等三角点と標識が。周囲は樹木に囲まれ、見通しは利かない。
ここで仲間と相談し、われわれ3人はさらに先へ進み、タングラム斑尾へ下ることに。残り3人は来た道を引き返し、菅川からタングラム斑尾まで車を回してもらうことにする。感謝。
山頂からは、緩い坂道をわずか下ると北峰に。ここには、北アルプスから日本海まで見渡せる大きな絵看板が。相当古く、今では樹木に遮られ、何も見えない。
北峰からは万坂峠コースに入る。少し進むと、左手前方に野尻湖が見えてきた。手前の紅葉も美しい。その先からは急斜面のゲレンデをジグザグに下る。
麓のホテルまでの中ほどには、野尻湖と北信五岳を一望できる展望テラスが。往復1200円の観光リフトで手軽に行き来できる。
われわれはさらに歩いて下り、ホテル前でほかの仲間と合流。菅川の野尻湖畔で昼食を取り、帰路に。目の前に見えるはずの黒姫山や妙高山は、ついに姿を現さなかった。
横内房寿
2022年11月26日号掲載