足慣らしに身近な里山へ
冬の間遠ざかっていた山歩きを再開するにあたり、4月上旬の土曜日、足慣らしに長野市内の旭山(785メートル)と富士ノ塔山(ふじのとやま)(998メートル)に出かけた。両方とも身近すぎて、まだ登っていなかった山だ。穏やかな春の日差しを浴びながら、山頂からの景色を楽しんだ。
山仲間4人で8時に出発。まず旭山へ。県庁の背後に形の良い三角形の峰がそびえる。裾花川の相生橋を渡り、安茂里の平柴地区を上がる。合格祈願で知られる朝日山観音の駐車場に車を置き、9時前に登り始める。
富士ノ塔山へ通じる舗装の林道を少し歩いて右折すると登山口だ。木製の階段を上り、樹林の中を少し歩くと平たん地に出る。
そこから尾根伝いに30分ほど登り、堀切跡を詰めるともう頂上だ。戦国時代に武田・上杉の攻防の場となった朝日山城跡とあって思いのほか広い。周囲は樹木に囲まれ眺望は望めないため、200メートルほど東側の展望台へ。
ここからは眼下に市街地を見下ろし、正面には浅間山から志賀高原にかけて白い山並みが一望できる。休んでいると、羽化したばかりのヒメギフチョウが舞い降りた。
帰路は標識に沿って朝日山観音への近道を下ろうとした。だが、踏み跡はなく途中から背丈の倍ほどもあるカヤのやぶの中に紛れ込んでしまった。
それでも無事に駐車場に戻り、今度は富士ノ塔山へ向かう。来た道を下って国道19号に出て、小市西交差点から山側に入る。小田切地区へ通じる県道の途中から20戸ほどの平林集落に入り、細い林道を終点まで走ろうとしたが、車1台が何とか通れる道幅しかなく、はみ出した小枝が側面に当たる。途中でこれ以上は無理と判断し、林道脇に車を止めて歩き始める。杉林の中を10分ほど歩くと、終点の登山口に。車はやはり人家のある辺りに置いてくるべきだった。
杉やカラマツの林を抜けると、稜線歩きに。左右はナラなどの広葉樹林に変わり、時折、樹間越しに真っ白な北アルプスが望める。この辺は山が明るく、道幅も広くて快適な登山道だ。
山頂が近くなると、金網のフェンスに囲われた無線鉄塔跡が現れた。ここまで車道が来ている。正面の急な階段を上り、ひと登りすると山頂直下の鳥居のある場所に出た。すぐ下に旭山からの林道が通っている。
近くにはあずまやを兼ねて、元小田切村立小鍋尋常小学校の玄関の一部が移築してある。鳥居をくぐって階段を上ると頂上だ。山頂には浅間神社の社殿があり、南と北に小さな展望台が設けられている。南には川中島平、北には飯縄山から高妻山、戸隠連峰を一望できる。
昼食の後、来た道を下り、県庁近くの温泉施設で汗を流して帰宅した。
横内房寿
2022年4月23日号掲載