Riceboy ライスボーイ
- 5月30日
- 読了時間: 2分
=1時間57分
長野ロキシー(☎︎232・3016)で6月5日(金)から公開

(C) 2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
異国での差別いじめ 未婚の母と息子の絆
「Riceboyライスボーイ」は韓国からカナダに移住してきたシングルマザーと息子の絆を描いたヒューマンドラマだ。
孤児院で育ったソヨン(チェ・スンユン)は愛し合った青年との間に子どもを授かるが、青年は亡くなってしまう。未婚の母となったソヨンは赤ん坊の息子ドンヒョンを連れてカナダで移民として生きることを決断する。
文化や言葉の違いから受けるいわれなき人種差別。学校でいじめにあった息子を守るため声を上げる気丈なソヨンだが、成長とともに韓国人であることを忘れたかのように振る舞うドンヒョンに複雑な思いを抱くのだった。そして、ある出来事をきっかけに16年ぶりに親子は韓国へ帰郷する。
タイトルの「ライスボーイ」は、学校にご飯入りお弁当を持ってくるドンヒョンを周りの子どもたちが揶揄して付けた呼び名だ。
アンソニー・シム監督自身も8歳の時に家族と韓国からカナダへ移住した。韓国の食べ物や文化、外見を恥じて、自身のルーツとアイデンティティーを隠し、溶け込もうとする心の葛藤は監督の体験から生まれたものだ。脚本も手がけたシム監督が、アジア人であることで受けた自らの経験を描いた半自伝的な作品でもある。
異国で孤独に生きてきた親子が亡き父親の故郷を訪ね、祖父母家族と再会しようとする旅は、母から息子に遺す家族の記憶だ。息子もまた母親の若き日の苦難と無償の愛を知り寄り添ってゆく。母親と息子が心を通わせる姿が静かに心にしみわたる。
「高麗葬」という朝鮮半島に伝わる伝説・風習の話が出てくる。日本では「姨捨伝説」に相当する。本来、親を大切にする韓国だが、母親を背負い山に捨てに行くものの息子が母親の愛情に気づき後悔する同じ結末であることが興味深い。
全編16ミリフィルムで繊細に写し出される風景が美しい。
トロント国際映画祭のコンペティション部門で最優秀賞、釜山国際映画祭で観客賞を受賞するなど、数々の賞に輝いている。
(日本映画ペンクラブ会員、ライター)
2026年5月30日号掲載



