雨粒に蚊が当たったら…

はじき飛ばされても 再び飛べる精密な体

 この冬は4年ぶりの「寒冬」となりました。雪の降る日や量も多く、春になり久々に雨を見たという人も多いと思います。じっと寒さに耐えていた虫たちもようやく表舞台に戻ってこようとしています。

 さてここで問題ですが、小さな虫に雨粒が当たるとどうなると思いますか。

 例えば蚊は体長が3〜5ミリと雨粒と同じくらいの大きさですが、重さは雨粒の方が50倍もあります。雨粒が蚊に当たる衝撃は、人が大型バスに跳ね飛ばされるほどだそうです。ではなぜ蚊は「バスが次々に降って来る」状況でも平気なのでしょう。

 この謎に挑んだのが米ジョージア大学の研究チームです。蚊に雨粒を当てて高速度カメラで撮影したところ、雨粒に当たった蚊は、はじき飛ばされたり、雨粒と一緒にしばらく落下したりしましたが、何事もなかったかのように再び飛び続けたそうです。

 蚊が無事だった理由は二つあります。一つは蚊の羽にある細かな毛が水をはじく仕組みになっているため。そしてもう一つは、蚊はとても軽いため、雨粒の力がほとんど伝わらないそうです。蚊の体の周りを硬い骨格が覆っていることも、雨粒の力を弱めているとのことです。

 あの小さな体がここまで精密に作られていることに驚かされます。

 「春雨」「春霖(しゅんりん)」「菜種梅雨」「催花雨(さいかう)」。今の時期に降る雨にはたくさんの異名があります。「催花雨」は春の花の開花をうながす雨という意味です。

 きれいな言葉が並びますが、春は低気圧が発達しやすく、嵐をもたらすこともあります。

 その理由は、南から春の暖かな空気が勢力を強める一方、北には冬の冷たい空気が残っているため、温度差で低気圧が発達するからです。雨だけでなく風も強まり、台風並みの暴風になることもあります。

 春の花々や虫の姿を楽しみつつも、これからは雨や風による災害に対策が必要です。

気象予報士・防災士


2022年3月26日号掲載