長野吉田高戸隠分校そば部出身
五感使って そば打ち楽しんで 学食での提供開始 年内にも
自宅を改修 そば工房も併設
長野大学(上田市)1年の丸山朝陽さん(20)が8月、そば打ち教室「そば358(さいこーや)」を南長池の自宅にオープンした。長野吉田高校戸隠分校のそば部出身で、身に付けたそば打ちの技を生かした活動をしようと、自宅の一室を教室にあて、販売用のそばを製造する工房も造った。部屋の改装と道具などをそろえるのにかかった費用は、アルバイトでためたお金で賄った。自宅を使わせてもらう代わりに、来客が目にする庭の掃除や木の剪定などは朝陽さんが自ら進んで行っている。
教室には家族や友人同士などさまざまな人たちが訪れ、リピーターも多いという。1組ずつに限定して教えるため、来た人は周囲を気にすることなく自分のペースでそば打ちができる。朝陽さんは「食べておいしいというだけでなく、そばの香りや粉の感触など、五感全部を使ってそば打ちを楽しんでほしい。とにかく褒めて、僕もお客さんと一緒にそば打ちを楽しんでいます」と話す。
子どもの頃には野球に打ち込み、「全日制の高校で野球をやりたい」という目標を持っていたが、小学6年の時に自律神経系の病気「起立性調節障害」を発症。体力が低下し、最も重症だった中学3年の時にはひどい頭痛でほぼ一日中眠り続け、家族がいくら体を揺さぶっても目を覚まさないほどだったという。
翌年も体の不調は続いていたが、「しっかりしなければ」と自らを奮い立たせて、自転車で新聞配達をしたり、近所のリメーク家具の店でアルバイトをしたりしているうちに、自然に症状が治まっていった。高校に進学せず働こうと考えていたが、急に「高校生をやってみたい」という気持ちが湧いた。全日制の高校に入るのは体調面で不安を感じ、父の淳一さん(50)が勤務し、そば部の顧問も務めている定時制の戸隠分校を選んだ。
当初、そば打ちに興味はなかったという朝陽さんだが、「そばはスポーツと似ているところがあって、毎回ちょっとずつ結果が違って、打てば打つほど成長していく楽しさに気付いてのめり込んでいった」と振り返る。
358はそば打ち教室だけでなく、そばの販売もしており、「そばをもっと日常的に食べてもらえるように、販売する商品の種類を増やしていきたい」と朝陽さん。長野大学の学食でのそば提供も年内には始まる予定だ。
記事 松井明子
写真 森山広之
そば358のそば打ち教室は土・日曜日9時〜17時の営業で完全予約制。1回プラン(5人前)4500円、長野市のみらいハッ!ケンプロジェクトのポイントも利用できる。1鉢につき3人まで可。土・日曜日以外の営業日はインスタグラム(soba358_)を参照。このほか、出張そば打ち体験、ケータリング、生そば販売も行っている。予約と問い合わせは電話か公式LINEで。
(問)そば358(丸山)☎︎080・4050・5913
2024年12月7日号フロント