未利用の食品原料再生・再活用推進プロジェクト

ベンチャー企業中心に15団体と長野市連携
食品ロス減らして付加価値付ける「長野モデルとして全国に取り組み広げたい」
食品流通関連ベンチャー企業の「ICS-net」(南石堂町)を中心に、食品関連事業者など15団体と長野市が連携して、未利用の食品原料を新たな食品に再生、再活用しようと、2022年度進めてきたプロジェクトから生まれた「長野アップサイクルフード」商品の販売が相次いでいる。
プロジェクトは、昨年4月、産学官組織「NAGANOスマートシティコミッション(NASC)」の補助を受け、食品原料段階での食品ロスの削減、再加工・販売を目的に始動。どんなものが未利用食品原料になっているのか調査を行った後、プロジェクトメンバーが商品の検討を重ね、未利用素材に新たな付加価値を付けて活用する新商品を生み出した。
食品製造販売の「サンクゼール」が販売する「グルメ缶詰福味鶏ふくふくレバーシリーズ」6種は、信州を代表する銘柄鶏「信州福味鶏」の中で、市場に流通せず余剰原料となっていたレバーやハツの一部を利用した。

土産卸のタカチホ(大豆島)が販売するクラフトビール「信都ご縁エール」2種類は土産品の製造工程で、1日当たり約10キロ、年間約2.4トン出るウエハースの端材を活用。ICS-netはビール製造が、ウエハースの原料の炭水化物を含む食材のアップサイクルに適している—として、クラフトビールメーカー「Beer the First」(横浜市)をマッチング、プロデュースした。完成したビールは、本来の製造で使用する原料麦の10%をウエハースの端材で代用した。
規格外の高知県産ミニトマトと信州黄金シャモの胸肉を組み合わせたオリジナルカレーは、県立大の学生がレシピ作りに協力。県立大生オリジナル「SKI好きカレー」と命名して、戸隠スキー場内レストランで3月31日(金)まで提供している。

ICS-net広報の熊谷拓也さん(34)は、「廃棄される食品の原材料の活用で食品ロスを減らして、付加価値を付けたより良い商品を消費者に届けられたことにやりがいを感じている。長野モデルとして全国に取り組みを広げていきたい」と話している。
記事・写真 中村英美 松井明子
2023年3月18日号フロント