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里山の風景と住人の尊厳をカメラに

宮之尾剛さん 4月29日から写真展

風景写真への意気込みを話す宮之尾さん。中央の作品が「八十余年目の秋」

 風景の組写真を対象に「予選」と「本選」を2年がかりで行う「第22回前田真三賞」。小川村や長野市の鬼無里、戸隠などの里山を捉えた写真で応募し、受賞は逃したものの、プロも含めた約150人の応募者のうち、予選を上位3人のうちの1人で通過した。アマチュア写真家宮之尾剛(49)さん=屋敷田=は「里山の風景と、そこで暮らす人たちが認められたようでうれしい」と話す。4月29日(土)から新田町のもんぜんぷら座で開く個展で、応募作品を含め50点を展示する。

 宮之尾さんが本格的に写真を始めたのは約7年前。アカオウ写真(中御所)の赤尾弘光さんに写真を教わり、勤める会社の営業先だった小川村や鬼無里、戸隠の里山の風景や、そこで温かく接してくれる人たちに引かれて休日にカメラを手に通うように。車の走行距離は3年で10万キロを超えた。

 宮之尾さんが「里山の尊厳」を撮り続ける覚悟を決めた写真がある。小川村に一人で暮らす89歳の宮下ゑ(さかい)さんが稲わらを束ねる姿を収めた一枚だ。ゑさんと離れて暮らす息子の政芳さんから「母はこの土地に尊厳を持って生活している」と言われ、改めて、田植えや稲刈りを手作業で行い、伝統行事や昔ながらの生活を大切にする姿を尊く感じた。写真は、「八十余年目の秋」の題でフィルム会社のフォトコンテストに応募、銅賞を受賞した。

 高齢化や後継者不足などで、荒廃していく里山の現実に、宮之尾さんは「それも受け入れて、里山の風景と、尊厳を持って生きている里の人たちを写真作品として残していきたい」。今年予選が行われる第23回前田真三賞への再挑戦に向けて、里山通いを続ける。

 

宮之尾剛写真展 〜北信州 里山の尊厳〜

4月29日(土)〜5月5日(金)、10時〜18時(初日14時〜、最終日16時終了)

新田町のもんぜんぷら座3階市民ギャラリー

(問)宮之尾☎︎080・1042・2108 アカオウ写真☎︎226・1186

 

 写真・記事 斉藤茂明


2023年4月8日号フロント

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