逆立ちトンボ

日光が当たる面積 少なくし暑さ軽減

 「四季彩々」のタイトルで10年続いたこのコーナー。今回から「気象予報ムシ」とタイトルを改めスタートします。え?ムシ?何?と思った方、そうです、主役は「天気」と「虫」です。

 虫の生態には天気と密接な関係があります。難しく感じることもある「気象」ですが、身近な虫を通して子どもたちや気象が苦手な人にも気軽に読んでもらい、天気について考えてほしいと思います。

 ちなみに、人気昆虫学者の丸山宗利さんは、日本で一番昆虫の種類が多い県を長野県と推測しています。森が多く環境が多様であることがその理由だそうです。

 大雨、台風、猛暑、大雪…。人間と同じように天気に左右される虫たちの暮らしをこのコラムで紹介していきたいと思います。

 

 夏の暑い日、汗をかきながら外を歩いていると目の前をトンボが飛んで行きました。トンボは木の枝に止まると尻尾をあげて逆立ちを始めました。「逆立ちトンボ」を見た時はビックリしましたが、調べてみるとこの行動に意味があることが分かりました。

 実はこれ、トンボの暑さ対策なんです。逆立ちをすることで体に日光が当たる面積を少なくしているのです。この逆立ちには「オベリスク姿勢」という立派な名前もついています。観察していると、時々体の向きを変えたり、日が沈んでくると尻尾を下げたりしながら体温を調節しているように見えました。

 日本はここ15年ほどで暑さのレベルが一段階上がったように思います。日本の最高気温の記録を長い間もっていたのは1933年に40・8度まで上がった山形です。74年もの間、1位に君臨していました。しかし、2007年以降は頻繁に記録が塗り替えられ、現在の記録は埼玉県熊谷と静岡県浜松がもつ41・1度です。

 環境省では「2100年未来の天気予報」を作成しています。温暖化対策をこれ以上強化しない場合、2100年の真夏の天気は、予想最高気温が東京と名古屋、新潟で44度、札幌でも41度と、信じがたい数字が並んでいます。子どもたちやその次の世代は、この時代を生きていかなければいけません。

 今いる私たちに何ができるのか、世代を問わず、一人一人の意識を変えていくことが間違いなく必要です。

 気象予報士・防災士


2021年7月31日号掲載