充実した食農体験が魅力

「農業」「野遊び」「料理」を主軸に
芋井地区で食農体験の場を提供するボランティア団体「天空の里 いもい農場」が来年度10年目を迎える。農業体験のほかに野遊びや料理体験も組み込んだ充実した内容が魅力で、毎年多くの参加者が活動を支えている。
昨秋収穫したリンゴ約18キロで干しりんごを作る実験会がこのほど、運営スタッフと長野県シニア大学生が参加して行われた。市芋井支所の建て替え工事を控え、支所内に設置していたリンゴ・野菜乾燥機が、同団体の活動拠点の芋井社会会館(広瀬)に移設されるのを受けて企画。乾燥機の活用法を考えるために厚みや形がさまざまな干しりんごを試作した。初めは大量のリンゴを前に戸惑いながらも自然と分担し合い、1時間半ほどで乾燥機に入れるまでの作業を終えた。
同団体は、コープながの主催の活動「いもい野遊び塾」が終了したのを機に、当時の運営スタッフが中心になり、2014年春にスタート。

野菜や米、リンゴ栽培などの農業体験をする「畑の教室」、野草摘みや生き物探しなどの「野遊びの教室」、野草や収穫した野菜を料理する「料理の教室」の三つの教室を毎回のプログラムに組み込んでいる。本年度は、年間スケジュール全15回の活動以外の援農ボランティアなども含めて、市内や千曲市、須坂市から、延べ1000人以上が参加。子育て世代の親子が中心だが、シニアや高校生、大学生の参加者もいる。
11人の運営スタッフのほとんどは芋井地区以外から参加。「農業の素人の私たちが活動を続けてこられたのは、農地の地主さんの支えがあってこそ」という代表の浦中綾子さん(44)=富竹=は、7、8年ほど前に現在小学生の2人の娘たちと参加を始めたことをきっかけに運営スタッフになった。「一人ではできないことも、みんなでやるからできる。失敗も成功も楽しい」と話す。
2023年度は、これまでと畑のレイアウトを変え、「夏カレーゾーン」「すいとんゾーン」というように、それぞれの料理に入れる材料ごとにゾーン分けしての作付けを試みるという。育てたものが全て料理の材料になるのだと意識づけて、子どもたちへの食育につなげることが狙いだ。
事務局長の西沢和宏さん(46)=篠ノ井布施高田=は、「アイデアを自由にかたちにできるのがボランティアの良さ。親も子も、実体験から学べるこのフィールドをこれからも楽しみたい」と話している。
記事・写真 松井明子
来年度参加者を募集
天空の里 いもい農場は、2023年度の食農体験の参加者を募集しています。4月22日(土)から12月2日(土)まで、毎月1〜2回、土曜に開催し、全15回。
年会費は大人(中学生以上)3000円、子ども2000円、3歳未満(野菜の持ち帰りなし)500円。1回のみの飛び入り参加は、大人・子ども共通で500円。
(問)天空の里 いもい農場 (メール)imoi.hirose@gmail.com
2023年3月11日号フロント