「自分で事業をやってみたい」18歳の店長 支える家族

三輪の住宅街にカレー専門店

家族でリノベーションした店内で蒼志さん(左)と悦子さん
祖母が包丁の使い方伝授、カレー通の父が成長を見守る

 三輪の閑静な住宅街に5月、カレー専門店がオープンした。店長は3月に高校を卒業したばかりの若者だという。隠れ家のような立地、高校卒業してわずか2カ月にしての開業…。どうしてカレー専門店を開こうと思ったのだろうか。疑問がいくつも浮かぶ。まずは店を訪ねてみた。

 店の名前は「グラサーノ」。風間蒼志(そうし)さん(18)を店長に、家族みんながカレー好きという風間さん一家が店を支えている。特に父の祐二さん(45)は、おいしいカレーを求めて東京や横浜まで食べ歩きするほどだという。祐二さんは鍼灸師の仕事の傍ら、長野駅前でソフトクリームの喫茶店「グラサーノ」を2007年から家族と経営していたが5年ほど前に閉店。

 蒼志さんが大学受験を目指していた昨年、「長野にはカレーの専門店が少ないから、今度はカレーの店をやろう」と、家族の中で話を進めていた。


メニューの「魅惑のチキンキーマカレー」

 一方で蒼志さんは、「コロナ禍の影響もあって、自分が本当にやりたいことが何なのか、見つけられずにいた」。趣味の動画編集の勉強をしようと、メディア系の学部を受験したが不合格に。「勉強不足だった。そこまで強い思いを持てていなかったということだと思う」と振り返る。

 カレー店の店長を誰がやるかを家族で話し合う中で、手を挙げたのが蒼志さんだった。浪人も就職も考えず、「自分で事業をやってみたい」と、店長をやることに悩むことはなかったという。

 店舗は、2年ほど前から空き家だった祖父母の家を活用。費用を抑えるために、床以外はほとんど自分たちの手でリノベーションした。同じように家族が協力し合って切り盛りしていた「グラサーノ」の名前を復活させた。

 カレーの仕込みや忙しい時の手伝いなど、蒼志さんを身近で支える祖母の悦子さん(72)は、「本当に店長ができるのかと、初めは心配した」と話す。

カレーを作る蒼志さん

 それまで料理の経験がほとんどなかった蒼志さんは、悦子さんに包丁の使い方から教わった。タマネギを一定の厚さに切ることができず、悔しくて何度も練習を繰り返した。祐二さんに味をチェックしてもらい、自分が思うようなカレーを安定して作れるようになっていった。

 家庭での料理を担っていた悦子さんが、家族の健康のために食材に気を使ってきたこともあり、蒼志さんも食材の違いに敏感だ。カレーの材料には国産牛や無農薬野菜をこだわって使っている。「お客さんがおいしそうに食べてくれるのがうれしい。自分の納得のいくものだけを提供したい」と、カレーへの思いは熱い。

 祐二さんは「壁にぶつかりながら実践の中で学んでいけるよう、家族として支え育てたい」と、若き店長を見守っている。

記事・松井明子

写真・森山広之


2022年7月30日フロント

 

グラサーノ

(住)三輪1288 ☎︎090・8773・6003

(営)11:30〜14:30(L.O.14:00)、18:00〜21:00(L.O.20:30)

(休)水曜日