義仲ゆかり 鬼無里の「土倉文珠堂」 あす「出開帳」

町が本年度振興事業

「素晴らしい文殊菩薩さまが鬼無里にいらっしゃることを、多くの人に知ってほしい」と話す松巌寺の清水住職(土倉文珠堂で)
松巌寺で文殊菩薩像公開
 土倉集落の人口減り続ける中 地域離れた人々集う機会にも

 鬼無里にある「土倉文珠(殊)堂」の文殊菩薩(ぼさつ)像を同地区の松巌寺で公開する「出開帳」が6月19日(日)10時から12時に行われる。出開帳は江戸時代に行われていたというが、現代では初めての試みだ。

 奥裾花の土倉集落にある土倉文珠堂は、平安時代末から鎌倉時代初めごろ、木曽義仲の守護仏だった文殊菩薩を祭ったと伝わる。「日本三文殊の一つ」とされ、知恵を授ける菩薩として広く信仰を集めてきた。

 文珠堂は松巌寺の別院で、維持管理は昔から土倉集落の人々が担ってきた。しかし、今も集落に住んでいる人は、3年前の5人から亡くなるなどで1人に。毎年6月に行う縁日も、新型コロナの影響で2020年から休止を余儀なくされている。

 今回の出開帳はこうした中で、将来に向けて文珠堂をどう守っていくかを案じた松巌寺の清水泰憲住職(51)が、縁日の時季に合わせて企画。清水住職は「何とかお堂の文化を伝えていきたい」と話す。

 公開するのは、本尊の文殊菩薩像とは別に、出開帳用に作られた文殊菩薩像。江戸時代に松代の寺に出され、定期的に出開帳が行われていたと伝わる。現在は文珠堂内の本尊像の脇に、厨子に納められて安置されている。

 当日は10時から縁日の法要、10時半から市立博物館学芸員・原田和彦さんの講演「江戸時代の御開帳について」があり、講演後の11時15分から12時の間、文殊菩薩像を公開する。入場無料。

 清水住職は、地区の高齢化と人口減少が急速に進む中、「(市街地に移り住むなどで)地域を離れた人々に鬼無里の文化や寺について知ってもらうために、葬儀や法事以外にも人々が寺に集う機会を増やしたい」と発想。以前は行っていなかった涅槃図(ねはんず)などの絵解きを節分の行事に合わせて始めるなどしており、出開帳はそうした試みの一つでもあるという。「住職をさせてもらっている地域に恩返しをして、地域を元気にしたい」と話し、来場を呼び掛けている。

 (問)松巌寺☎︎256・2061

 記事・写真 竹内大介


2022年6月18日号フロント