絵本など貸し出し「りんご文庫」40年

運営引き継ぎ 活動楽しむ母娘

「りんご文庫」と「宿文庫」を運営する小林孝子さん(左)と征子さん
南堀の小林孝子さん・征子さん

 新設「宿文庫」には大人向けの本も

  自宅の一室などを開放し、地域の子どもたちに児童文学や絵本などを貸し出す家庭文庫。南堀にある「りんご文庫」と「宿文庫」は、小林孝子さん(73)と娘の征子さん(38)が運営する家庭文庫だ。親子2代での運営は珍しいと思い話を聞いてみると、実は創設者から引き継ぎ、今年で40年になる長期運営の家庭文庫だった。

 1982年、宮下すわ子さん(80)=石渡=が、自身の子どもたちが小さい頃に読んでいた本を活用し、りんご文庫を立ち上げたのが始まり。孝子さんは、りんご文庫の一利用者として、幼かった征子さんを連れてたびたび訪れていたという。2000年、宮下さんが文庫運営のために間借りしていた建物が取り壊されることに。孝子さんの自宅敷地内の建物に文庫を移転できないかと宮下さんから依頼され、快諾した孝子さんは以来文庫の活動に加わり始めた。

 しかし、時代とともに、文庫を訪れる子どもが減り、文庫を訪れていた赤ちゃん連れの親子も、親の育休期間が終わると足が遠のくことが増えた。その後、宮下さんは体調を崩し運営から引退。利用者が減っていく中、孝子さんは「文庫で待つだけでなく自ら出掛けていこう」と、毎週1回の文庫開館日以外に、未就学児や小中学校での読み聞かせへと活動を広げていった。


孝子さん(左)の説明を参考に、本選びをする親子連れ

 一方で2018年、関西からUターンした征子さんは、同じ敷地内に民泊の宿「ヤドリンゴ」をオープン。昨年10月には、空き家だった別棟も宿に改修し、りんご文庫の約2500冊の一部を移して「宿文庫」と名付けた。

 現在、オープンデーを月1回にし、りんご文庫と宿文庫を共に一般に開放。宿文庫には、子どもの本だけでなく、征子さんが「心を楽にして生きてほしい」と思いを込めて新たにそろえた大人向けの本も並ぶ。

 8月のオープンデーに、3歳と1歳の子を連れて初めて訪れた母親は、「私自身が本好きなので、本選びが楽しいし居心地が良い」とほほ笑み、膝に座った子と共に絵本を読んでいた。孝子さんは「この本の主人公のネズミは面白いよ」「この本は、目の見えない人が書いていて、音の表現が面白いよ」と、来館者の話を聞きながら、さりげなく本を薦めていた。

 「悩んでいるときの生きる助けにもなるし、本にはいろいろな出合いがある。いっぱい楽しめるものだと伝えたい」という孝子さん。征子さんの個性が加わり、変化を続ける文庫の活動を楽しんでいる。

記事 松井明子

写真 森山広之

 

次回の宿文庫

 次回の宿文庫・りんご文庫のオープンデーは9月13日(火)10時30分〜12時、15時30分〜17時。冊数と期間の制限なく貸し出しも可。利用無料。

 (問)宿文庫☎︎090・4158・6899