糸と向き合う時間 思い思いに楽しむ

「信州新町手おりの会」の女性17人

高機で布を織る会員。織り機は江戸時代から明治時代の物が多いという
木のやわらかさを感じる機音が好き

21日に年1回の作品展

 信州新町にある、元は保育園だった建物の中に、15台の機織り機が所狭しと並ぶ。ここを拠点に活動する「信州新町手おりの会」の月2回の例会日には、会員の女性たちが機織りをしたり、裁縫をしたり、作品について語り合ったりと、糸と向き合う時間を思い思いに楽しんでいる。

 使っている高機(たかばた)は、椅子に腰掛け、両足で踏み木を踏んで縦糸を操作しながら、左右から横糸を通して布を織っていく。江戸時代後期以降に普及し、農家の女性の冬仕事として、自分たちが着る衣服を織ったという。


作品展会場ではポーチやマフラーなど小物作品の販売も行う

 会の発足は1986(昭和61)年。養蚕が盛んだった信州新町には昭和の後半まで繊維や織物の工場が多かったが、このころ相次いで閉鎖。放出された残糸を活用しようと、機織り経験のある女性3人ほどが織り機1台で始めた。

 現在最年長の中村佐代子さん(88)は94年、小学校教員を退職する際に、同僚に手織りの記念品を贈るために始めた。当時の先輩会員に学んだ技術を今、若い世代に伝えている。

 会員は現在女性17人。ここ6年ほどで町外の人や20代の若い会員が次々に入会し、倍以上に増えている。会員になると、織り機をいつでも自由に使える。ミシンもあり、自分で織った布で洋服、ストール、ポーチなどを手作りできる。


チュニックやストール、バッグ、マルチカバーなど。どれも手織りの布で作った会員の作品だ

 既成の糸を使うのもいいが、古い布を裂いたりほどいたりして生まれ変わらせるのも魅力だ。中村さんは、子どもが幼い時に着ていたセーターをほどいてベッドカバーにしたり、亡くなった父親の着物をこたつの上掛けに再生したり。「家族の思い出と重なる物作りができる」と言う。会員たちは「思ってもみなかった色の布が織り上がる」「織っていると無心になれる」「木のやわらかさを感じる機音が好き」「100年前の人と同じことをしているのが不思議な感覚」と、それぞれの楽しみを話す。

 年に1回の作品展を10月21日(金)から23日(日)に開く。会員の作品約100点を展示するほか、販売や機織り体験も行う。代表の杉本弘子さん(67)は「物を手作りするのが好きな人や、機織りを懐かしく感じる人にぜひ来てほしい」と話している。

 記事・写真 竹内大介


 

「信州新町手おりの会」作品展

 10月21日(金)から23日(日)の10時から16時(23日は15時まで)、旧日原保育園(信州新町日原西2142~2)で。入場無料。機織り体験は500円。駐車場は近くの信州犀川交流センターを利用。

 手おりの会は入会金が4000円、活動費が年1000円、糸代が1㌘1円。

 (問)杉本☎︎080・4079・0195


2022年10月8日号フロント