top of page

病気と闘う子どもたちの存在知って

信大付属長野中3年生チームが募金活動

笑顔で募金を呼び掛ける清水さん(写真左)
リーダーの清水愛子さん 自らの闘病体験 糧に

「レモネード」に思い込め

 信州大付属長野中学校の3年生14人が11月2日、同校で開かれた「ワークショップ2024」で、小児がん患者支援の募金をしてくれた人にレモネードを手渡す「レモネード・スタンド」を行った。この活動のリーダーを務めたのは、血液の病気を経験した清水愛子さん(15)。清水さんらは「小さな行動でも誰かの力になるということを知ってほしい」と、募金を呼び掛けた。


 生徒自身が社会の課題について考え、学びを深める、同校独自の「あさひのプロジェクト」の一環。今年、3年生は18チームに分かれて学習し、清水さんらは「社会の医療課題の解決」をテーマに「Smile」というチーム名で活動してきた。この日の「ワークショップ」はPTAバザーと同時開催で、生徒たちは多数の来場者に1年間の学びや成果を発表した。


 清水さんは小学6年の12月、遊びに行っていた祖父母宅で突然倒れた。信大医学部付属病院(松本市)で「急性の血液疾患」と告げられ、そのまま入院。


 「小学校では皆勤賞を目指していた。病名を聞いた時は、まさか自分が、という気持ちしかなかった」と言う。新型コロナウイルスの感染対策で家族との面会も制限されたため、ほぼ一人で入院生活を送り、小学校の卒業式、信大付属長野中の入学式も出席できなかった。


 寂しさや薬の副作用の苦しさ、将来への不安を抱えた清水さんを支えたのは、主治医をはじめとする医療スタッフだった。「私も将来は医師になって病気の子どもを助けたい」。入院中に芽生えた思いを胸に治療を乗り越え、中学1年生の8月に退院。服薬しながらの時短通学を経て2年の秋、ようやく制限なく通学できるようになった。3年に進級前、「あさひのプロジェクト」のテーマを話し合う場で、「病気と闘う子どもたちの存在を知ってもらいたい」とリーダーに手を挙げ、自らの闘病体験をもとに「Smile」の活動を進めてきた。


 入院中に動画で見て知った「レモネード・スタンド」のほか、「入院していた時、自分への輸血が足りず、他県から緊急で運んでもらった」という体験から、長野献血ルーム(問御所町)を訪問して献血について学んだ。ペットボトルのふたを集めて世界の子どもにワクチンを贈る「エコキャップ運動」では、全校に協力を呼び掛け、約290キロ分を回収した。


 「チームの仲間が興味を持って学んでくれただけでなく、全校のみんなが協力してくれたことがうれしかった」と清水さん。メンバーの渋谷珠希さん(15)も「身近にできることがたくさんあると知った。自分の経験を語って活動を引っ張ってくれた清水さんの勇気に感謝している」と話す。


 現在も定期的な検査を続けながら、「病気になった経験を、夢をかなえるステップにしたい」と、力強く語る清水さん。レモネードに思いを込めて仲間と共に集めた募金は6万22円。今後、小児がん支援を行うNPO法人に寄付する予定だ。

記事・写真 村沢由佳


 

【レモネード・スタンド】

 募金した人に1杯のレモネードを手渡す、米国発祥のチャリティー活動。小児がんになった4歳の少女が「同じ病気の子を助けたい」と自分でレモネードを作って売り始めたことが共感を呼び、全米に広がった。日本各地でも行われており、集まった募金は小児がんの研究支援などに充てられている。


2024年11月23日号フロント

bottom of page