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由緒ある曳き舞台 引き取り手募集

  • 10月18日
  • 読了時間: 2分

小川村小根山 和手組宝蔵庫保存検討委

解体・廃棄の危機にある和手組曳き舞台
解体・廃棄の危機にある和手組曳き舞台
地区の担い手が不足

「動かす」こと難しく どうか未来につないで

 小川村小根山の和手組宝蔵庫保存検討委員会は、和手地区住民らが約120年余りにわたって大切に守り継いできた「和手組曳(ひ)き舞台」を、新たに引き継ぎ、活用してくれる県内の団体および個人を募集している。委員会は「展示や別の祭りで活用したいなど、利活用を考えていただける方にぜひ手を挙げてほしい」と広く呼びかける。


 曳き舞台は、もともとは鬼無里から和手地区が譲り受けたもので、住民らは当初より地元小川神社の秋祭りに使用してきた。


 ケヤキで造られ、大きさは幅約2メートル、長さ約5メートル、高さ約4メートル。舞台正面、唐破風下の鶴の飾り彫りが美しい。


 祭りでは、舞台後方に8人の囃子(はやし)方が乗り込んで祭り囃子を演奏。これを25〜30人の住民が曳き手となって神社まで曳行(えいこう)する。舞台では、要所要所に囃子方の演奏で神楽や舞の奉納がある。長く地区全体をひとつにする象徴としての役割を担ってきた。


 しかし近年、少子高齢化が一気に進んだことで担い手が不足し、曳き舞台を「動かす」ことが難しくなった。2015年の祭りを最後に、以降は宝蔵庫に保管したままだ。数年前には、曳き舞台を格納する宝蔵庫の床面に亀裂が入り、建物が徐々に傾き始める損壊の危機に直面。建て直しを考えざるをえなくなり、2年前に同委員会を立ち上げて協議を重ねてきた。この中で、保管、維持費の問題は大きく、結果「解体・廃棄」の可能性が高まった。


 委員会のメンバーは50代後半から60代前半の人たち。全員が地区伝統のお囃子を練習する「若連」を経験している。メンバーの一人西沢聖司さん(61)は「私たちが若連に入った頃は、メンバーになれることが名誉だった。順番で若長をやって引退するのが通例だったが、役目が終わっても残らないといけない時代になった」と振り返る。委員会代表で組長の松峯智圭さん(59)は「年寄りから若い人まで、お祭りを通じた和手組の結束力は強かったと感じる」と懐かしみながらも「解体は最後の手段。地域の歴史や私たちの思いが詰まった由緒ある舞台を、どうか未来につないでくれる人に引き継いでほしい」と話した。

 (問)松峯☎︎090・9800・2166


記事・写真 中村英美


2025年10月18日号フロント

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