県立美術館で11月17日まで
京都・細見美術館の名品たち
箱清水の県立美術館は11月17日(日)まで、「京都 細見美術館の名品〜琳派、若冲、ときめきの日本美術」展を開いています。
細見美術館(京都市)は、古代の神道・仏教美術から茶の湯美術、江戸時代の諸流派の絵画まで、日本美術のほとんどの分野と時代を網羅する幅広いコレクションで知られます。今回は、同館が所蔵する同時代の絵師伊藤若冲の全19点に重要文化財8点を含む名品計104点を展示しています。
展示は次の五つのテーマで構成。「祈りのかたち」は優美で繊細な仏教美術を、「数寄の心」は室町時代の茶の湯窯など茶の湯美術を紹介。「華やぎのとき」は、日本美術の特徴とされる「かざりの美」を有する建築金具や七宝コレクションを特集。「琳派への憧れ」は俵屋宗達から酒井抱一、鈴木其一、近代の神坂雪佳までの琳派の一大コレクションを。「若冲のちから」は、初期の彩色画から晩年の水墨画まで幅広い年代の作品が並びます。
南北朝時代作、重要文化財の「金銅春日神鹿御正体(こんどうかすがしんろくみしょうたい)」=10月29日(火)まで展示=は、春日明神が神鹿に乗って飛来したという春日神社創建の逸話を表した作品で、リアルな鹿の姿と愛らしい表情が目を引きます。
30代前半の若冲の初期作「雪中雄鶏図」は、積もった雪の中で餌を探す鶏を描いた彩色の作品で、若冲の傑出した観察眼と写実力を見て取れます。
同館は「日本美術教科書ともいわれる細見美術館のコレクション。日本美術の流れを感じながら、心ときめく美の世界を楽しんでほしい」と話しています。
水曜休館。開館時間は9時から17時。入館料は一般1400円、大学生1200円、高校生以下または18歳未満無料。
(問)同館☎︎232・0052
2024年10月26日号掲載