犬も食わねどチャーリーは笑う

=1時間57分

長野グランドシネマズ(☎︎233・3415)で9月23日(金)から公開。

(C)2022「犬も食わねどチャーリーは笑う」FILM PARTNERS

夫婦が本気でバトル コミカルに顚末描く

 夫婦げんかはつまらない原因がほとんどで、仲直りしやすい。犬も見向きもしないものだ…。「夫婦げんかは犬も食わない」というけれど、「犬も食わねどチャーリーは笑う」は、本気のバトルを繰り広げた夫婦のけんかの顛末(てんまつ)をコミカルに描いたブラックコメディー映画だ。

 ホームセンターの副店長、裕次郎(香取慎吾)は商品知識が豊富で同僚たちからの信頼も厚い。妻の日和(岸井ゆきの)とは結婚4年目の仲良し夫婦だ。だが夫婦円満と思っているのは夫だけ。従業員が教えてくれたSNSの投稿サイト「旦那デスノート」で、内容のえぐさで人気の投稿者チャーリーが、日和だと気づいてしまう。辛辣(しんらつ)な投稿の数々は2人の日常生活そのもの。これまで柔順な妻だと思っていた日和の本心を知り、がくぜんとする裕次郎。ほほ笑みの仮面を外した妻とのガチバトルが始まった。

 「デスノート」とは、映画化もされた人気コミックに出てくる、名前が書かれた人間を死なせることができる死に神のノートのこと。しかも「旦那デスノート」は実在するWEBサイトで、夫に死んでくれと願う妻たちの怒りと愚痴のオンパレードはまるで怨念のよう。オリジナルの脚本で知られる市井昌秀監督は、本作の執筆にあたり参考にしたそうだ。女性なら思わず共感する「あるある」度が満載だ。夫たちはその内容の恐ろしさに背筋が凍るにちがいない。

 家事に仕事に追われながら働く妻のストレスは大きい。自分のことが最優先で妻をいたわらないダメ夫の裕次郎に、笑顔の陰で不満を募らせていた日和。鈍感な裕次郎が妻の心の地雷を踏んでしまい、一瞬にしてかわいい日和が鬼の形相に変化するシーンに、ぞっとさせられる。

 チャーリーとは2人が飼っているペットのフクロウの名前。日和がペンネームに使ったことで、けんかのきっかけになる重要な存在だ。夫婦のバトルを冷静に観察するかのようなチャーリーの賢い表情に監督がほれ込み、作品のタイトルに使うほどの演技派だ。

 夫婦円満の秘訣(ひけつ)は思いやりと忍耐だというが、それはお互いさま。ベテラン夫婦も、これからゴールインするカップルも、必見のドラマだ。

日本映画ペンクラブ会員、ライター


2022年9月17日号掲載