県立美術館 2年かけ修復
県立美術館(箱清水)は、日本画家・東山魁夷さん(1908〜99年)の皇居宮殿壁画「朝明けの潮」の原寸大の色分け大下図について、2年かけて修復と額装整備を終え、このほど報道関係者に公開しました。
大下図は、縦約3.8メートル、横約14.3メートル。宮内庁の依頼で皇居宮殿に設置された完成作品制作の前年1967年に、大きさや色のバランスを確認するために描かれたものです。
完成作品は、東山作品では最大級で、画業の代表作であるものの、一般公開されていないため、皇居以外で原寸の作品を見られるのはこの大下図のみでした。98年に本人から寄贈された後、同館では長らく巻いた状態で保管してきましたが、2021年に本館を全面改築して、超大型作品の展示と収蔵が可能になったことから修復と額装整備を行うことにしました。
朝明けの潮は、宮内庁の依頼で制作された作品で、山口県長門市の青海島の岩をモチーフにしたとされます。あまりにも大きなサイズだったため、東山さんは自宅の庭に仮設のアトリエを建て、特注のリフトを使って描いたというエピソードも残っています。
学芸員の松浦千栄子さんは「一般の人たちには知られざる代表作。原寸大の大下図を通して、作品の素晴らしさと大きさ、雄大さを体感してもらえれば」と話していました。
大下図は、2025年秋開催の「東山魁夷館35周年記念企画展」で一般公開する予定。
2024年12月14日号掲載