須坂の写真家が冊子

須坂市坂田の写真家岩本憲治さんは、江戸時代初期に米子村奇妙山にこもって木食(もくじき)修行をした但唱(たんしょう)上人と、そこへ9歳で弟子入りした若穂綿内出身の閑唱(かんしょう)上人の足跡を写真で追った冊子「木食の地から 但唱・閑唱」を出しました。
岩本さんは、仕事で須坂市の観光パンフやポスター用の宣材写真を撮る中、上田市と須坂市にまたがる四阿山北麓の米子大瀑布から、連立する須坂市の奇妙山一帯が、但唱と閑唱の木食修行の地であったことを知り、7年ほど前から彼らにまつわる歴史を調べたり、実際に史跡を訪ねたりするなどして取材を重ねてきました。今回「地元の人に地元のことをもっと知ってほしい」との思いから冊子を制作しました。
冊子では、彼らの修行の地であった奇妙山平の石窟や護摩行を行った大岩上の護摩壇などの現在の様子から、但唱、閑唱の作仏(さぶつ)とされる石仏などの仏像や寺院などを撮影した写真とともに、2人の聖たちと、それらとの関わりを文章で解説。但唱開基の須坂市亀倉町の萬龍寺(ばんりゅうじ)本堂に安置される千体仏や、同じく駒ケ根市の安性寺に安置される木造阿弥陀如来坐像など、閑唱中興の岐阜県多治見市の心性寺本堂に安置される杉の柾目材の千体仏なども分かりやすい写真で紹介しています。
岩本さんは「閑唱は地元綿内出身だけれど地元での足跡がほとんど分からないのが残念。但唱や閑唱がこの地で木食修行をして残したものを地域の人たちが知る一助になればうれしい」と話していました。
500部製作。A4判、65ページ。須坂市の図書館や公民館、16校ある小中学校へ寄贈しました。2000円で販売。
(問)岩本☎︎245・6394
2023年2月18日号掲載