木ぞりの普及通じてリュージュ競技の普及促進を

元選手 吉崎雄貴さん

スパイラルのコース内で、自作の木ぞりを手に「そり遊びから、たくさんの選手が出てきてくれたらうれしい」と話す吉崎さん
「祭り」やジュニア選手権計画
精力的に「協会」活動

 そりの楽しさを体験できる木ぞりの普及を通じて、ウインタースポーツのリュージュ競技への関心を高め、競技人口の底辺拡大と選手の育成につなげたい—。元選手の吉崎雄貴さん(43)=栗田=は、昨年1月に仲間と3人で任意団体「日本木ゾリ協会」を立ち上げ、6月に一般社団法人として登記。輸入した木ぞりのレンタルを県内3スキー場で始めたほか、体験会や大会を開催するなど、精力的に普及活動に努めている。

 吉崎さんは神戸市出身。高校と大学で取り組んだトライアスロンで日本ジュニア選手権6位に入り、オリンピックを目指したが大学3年で引退。会社勤務を経て、リュージュ競技に魅せられると、2010年、31歳の時にトレーニング環境を求めて長野市へ転居した。13年には全日本選手権で3位に入り、日本オリンピック委員会の強化指定選手としてワールドカップや世界選手権に挑戦。15年に引退した。

 オリンピックのリュージュ競技に日本人選手は1972年の札幌五輪から連続出場していたが、2018年の平昌五輪で途切れることに。同年、長野市は国内唯一の競技場だった「スパイラル」の製氷を休止した。


横手山スキー場(山ノ内町)で開催した木ぞり体験会。小学生から70代まで約20人が木ぞりの滑走を楽しんだ  (3月12日 吉崎さん撮影)

 こうした中、吉崎さんはリュージュの「本能に刺さる楽しさ」を知ってもらい、衰退するそり競技の現状を食い止めたいと切望。「そり遊びの発展形がリュージュ。木ぞりに親しむ中から、リュージュの世界に飛び込む人が出てきてほしい」と考えた。

 30年の冬季五輪開催を目指す札幌市が、そり競技の会場としてスパイラルを計画に入れていることから、競技会場となった場合、通年で滑れる施設への改修を検討するよう、今年3月、荻原健司・長野市長に申し入れた。

 8月にスパイラルで長野吉田高そば部の協力でコースを利用した流し信州そばなどを盛り込んだスパイラル祭り、来年2月に日本ジュニア選手権大会などを計画。吉崎さんは「競技の原点のそりの楽しさをオリンピックを開催した長野から伝えたい」と準備に力を入れている。

記事・写真 中村英美