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映画ロケハン散歩

脳内イメージ膨らませて

淀ケ橋公民館前の三角公園。小さなストーリーが浮かびそうという

 7月19日のまち歩きのテーマは「映画ロケハン散歩」。案内人は、映画を見て語り合うイベント「権堂映画倶楽部」を主催する沖快生さん(22)。「もし長野市門前エリアをロケ地に映画を撮るなら」「もしあの映画のあのシーンをこの街で再現するなら」―。自称「架空映画監督」の沖さんが、門前町かいわいで「〝ロケハンごっこ〟散歩」をして見つけた「映画的」だと思う風景を案内してくれた。 

 沖さんは、静岡県出身。今年信州大学工学部を卒業して長野市内の会社に就職した。映画が好きで、学生時代には長野相生座・ロキシーでアルバイトをしていた。この日、沖さんはハンチング帽子に開襟シャツ、ノートを片手に携えた、昭和の映画監督を思わせるコスプレで登場した。

 ロケハン参加者は6人。まずは善光寺表参道の東側、宿坊が軒を並べる小路からスタート。「雪が積もった冬の夜の雰囲気は格別」と言う。そこから善光寺下駅、三輪方面へと下って緩やかに伸びる道の全景をチェック。城山公園に続く石の階段を上って城山公民館前へ。ここからは山と善光寺を背景に小学校のプールと校庭を見下ろせる。「学園ドラマを設定したら引きの絵を撮れる大切な場所」と解説してくれた。

 城山公民館北側を走る道路から長野市街地を一望してから、歩行者専用の階段を下って三輪淀ケ橋方面へ。淀ケ橋公民館すぐ前の「三角公園」で足を止める。「名前の通り三角形のかわいらしい公園。小さなストーリーができそうな気がします」。


大林信彦監督作品に実際に使われたロキシー裏の路地

 田町西交差点地下道を通って、長野相生座・ロキシー裏の路地へ。ここは2007年公開の大林信彦監督作品「転校生~さよならあなた」の実際のロケ地。「知らずに鑑賞していて気付いた時はびっくりしました」。ヒロインの実家の設定だった建物も教えてくれた。

 鍋屋田小学校北側、グーグルストリートビューにも載っていない名もなき路地を案内してもらいながら進む。建築現場を囲む深緑色の波トタンの塀が続く場所では、「韓国ノワール(裏社会を題材にした映画)の逃走劇にぴったりなのではないかと踏んでいます」と、参加者の脳内イメージを膨らませてくれた。

 朝7時の出発から約2時間のまち歩きの締めくくりは、沖さんが活動する権堂映画倶楽部発足の場所でスパイスカレーと喫茶のお店「(椒)(じゃお)」。朝9時、営業時間外の店内でおすすめのスパイスカレーを全員が注文。映画談議に花を咲かせながら、フレッシュでおいしい本格スパイスカレーを堪能した。

 記事:中村英美


2023年8月19日号掲載

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