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日本生物学五輪に出場

長野高2年 関桜子さん

ほかではできない体験 刺激

 20歳未満の大学入学前の青少年を対象に、生物学に関する知識や思考力、実験技術などを競う「日本生物学オリンピック2023」が8月中旬、静岡県で開かれ、長野高校2年の関桜子さん(17)が長野県から唯一出場し、敢闘賞を獲得した。「生物好きな人たちが集まり、ほかではできない体験ができた。とにかく楽しかった」と振り返り、「来年はもっと上位に入りたい」とさらなる高みを目指している。

 小学6年生の頃医学、特に「未知の分野が多くて少し危険な感じが冒険みたい」とウイルス研究に関心を持った。高校入学後、「研究者になりたいという将来の夢につながっている」と生物五輪への出場を決意。学校では未習の範囲や難問が出題されるため、同高で生物を担当する小川裕己教諭(61)が週2回、同五輪出場を目指す生徒向けに開く特別講座に参加しながら、10年分の過去問を解くなど努力を重ねた。

 生物五輪は、今年は全国から3255人が予選に参加。41倍の難関を突破した80人が8月17日から20日に静岡大学で行われた本選に出場した。

 本選で特に印象に残ったのは、解剖実験の試験だったという。「一人ずつブースが与えられて、染色してカエルの胚の構造を調べたり、コオロギの頭を解剖してスケッチしたり。普段できない経験でとても勉強になったし、有意義な時間だった」と振り返る。

 生物五輪ならではの出会いもあった。昆虫や植物が大好きで豊富な知識を持つ人や、タンパク質の構造をすらすら説明できる人—。「同世代で、こんなにすごい人たちがいるんだ」と刺激を受けた。

 金・銀・銅賞に続く敢闘賞の成績に、「目標だった本選に出場できたのは良かったけれど、金賞を取っている人を見てすごいな、負けたくないなと思って、来年も挑戦することにしました」。そう言って「結構、負けず嫌いです」とにっこり笑った。

 学校生活を送りながら生物五輪を目指す日々は「苦しんだ時もあった」。一方で「今しかできない経験を大切にしたいし、自分で決めたことはやり遂げたいと思う。切り替えをしっかりやれば、バランスを取れるんじゃないかと思います」。

 昨年の同高入学式で新入生代表としてあいさつに立ち、副班長を務めるECC班では県大会で優勝した。その素顔は好奇心旺盛な努力家、そしてチャーミングな笑顔の持ち主だった。

 記事・写真 村沢由佳


2023年9月9日号フロント

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