長野日大高2年 小境士道さん
創刊号は「根羽村」特集 地域に根差した活動を続ける「人」取材
知られざる魅力を発信
長野日大高校探究創造学科2年の小境士道さん=飯山市=は昨年8月、資金調達から取材、編集作業までを一人で手掛けたフリーペーパー「HENTAI NAGANO(ヘンタイ ナガノ)」を創刊した。今は、3月末に発行を計画する第2号の制作に奮闘している。
探究創造学科の生徒たちは、自分の「好き」を究めて、学びを深めている。入学後、小境さんは大好きな「長野県」をテーマに県の魅力を探究し、それを県内外に広めることを自身のプロジェクトとして取り組んできた。
当初、インターネットやSNSを活用して調査を進める中で、これらに載っている場所やスポットは、すでに多くの人に知られた情報だと思うようになった。そこで、各地域に根差した活動を続ける「人」にフォーカスすることで、その土地ならではの知られざる魅力を発信するフリーペーパーを作ろうと考えた。タイトルの「HENTAI」は、小境さんが定義する「長野をこよなく愛し、地元で全国的にも珍しい活動をしている人」を指す。
まずはSNSを通じて取材を受けてくれる人を募集。創刊号では、複数の応募のうち、最も興味を抱いた「根羽村」を取り上げ、そこで地域おこしの活動をする移住者を中心に紹介することにした。
一昨年の12月に1泊2日で村を訪ねて取材。東京から移住して地域おこしに取り組む男性と、12ヘクタールの山地を活用した放牧酪農「山地(やまち)酪農」を実践する酪農家を中心に話を聞き、村の歴史や特産の「根羽杉」などについても調べた。取材後は、原稿の執筆をはじめ写真選びや誌面のデザインをするとともにクラウドファンディングで資金集めも行い、A5判、20ページ、オールカラーで1000部を発行した。
「まさか高校生で発行できるとは思いもしなかった。実際に物になってすごい達成感を味わえ、うれしかった」と振り返り、「特集した人の魅力が伝わって、そこを訪ねてくれる人が増えたらいい」と期待する。
第2号では「北相木村」を取り上げる。村内外の人たちが交流できる居場所づくりで村を盛り上げようと活動を続ける人たちの紹介を軸に誌面をつくる計画だ。
いつか県内すべての市町村を取り上げるのが大きな目標。「地元の人しか知らない魅力を載せているので、観光客だけでなく、広く県民にも見てもらい、長野県愛を深めてもらえたら」と笑顔で話した。
発行した冊子は同校ほか、善光寺周辺の飲食店などに置いてもらう。
記事・写真 中村英美
2025年1月11日号フロント