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「思い出をエッセーに」寄稿募集中

地域に愛されて再建100年の菊屋稲荷社(緑町)

初午祭の参拝者に応対する菊屋稲荷社世話人代表の古川さん(中央)と同世話人の宮下さん(右)
初午祭の参拝者に応対する菊屋稲荷社世話人代表の古川さん(中央)と同世話人の宮下さん(右)

 今年再建100年を迎える菊屋稲荷社(緑町)の世話人たちは、9月10日(水)の例大祭に向けてさまざまなイベントを企画している。編さん中の100周年記念誌には広く一般の人からのエッセーも掲載する計画で、「菊屋稲荷社の思い出をエッセーにして寄せて」と、3月31日(月)まで募集している。


 強い寒波の影響で市街地にも雪が積もった2月6日の朝。初午祭の始まる7時には参道に参拝の列ができた。「5年前に引っ越してきてから毎年お参りに来ている。妊娠中なので安産祈願したい」という女性や、「お宮の前を通ることはあったが、お参りに来たのは初めて」という人、「ご利益があったらうれしい」とだるまをもらってうれしそうにほほ笑む人など、参拝者は途切れず、用意した200個のだるまを全て配った。同世話人代表の古川直久さん(80)=南千歳=は「お祭りの時だけでなく毎日参拝する人もいて、地域に愛され、溶け込んでいると感じている」と話す。


 菊屋稲荷社は問御所の大庄屋で造り酒屋の「菊屋」の屋敷神として建立され、菊屋の所有する広大な敷地内だった現在の場所に祭られ、明治末期に菊屋が酒屋を廃業した後は放置されていた。1923(大正12)年の関東大震災で東京で被災した竹内広正さんが妻の実家がある緑町に避難していた折に、家の脇を流れる川で祠(ほこら)を拾い上げると、それが菊屋稲荷社の祠だったという。竹内さんは元の社殿跡に祠を祭っていたが、その後、竹内さんを含めた4人が中心となり寄付を集めて25年に再建した。


 同世話人は地元の40〜80 代の9人で、古川さんの祖父は再建の中心メンバーの一人。家から歩いて5分ほどの菊屋稲荷社は子どものころの遊び場だった。かくれんぼをしたり、細い竹筒に「いのみ」(エノキの実)を詰めて空気の圧で実を飛ばす「いのみ鉄砲」を作ったり。先代の世話人たちが熱意を持って稲荷社を守る姿も見てきた。古川さんは「毎月の月次祭も再建以来続けている。引き継いだ私たちが簡単にやめるわけにはいかないという思いがある。でも何より、皆お祭りが大好きなんだ」と顔をほころばせる。


 エッセーの審査は同世話人たちと武井神社宮司で行う。エッセー募集担当の同世話人宮下和彦さん(72)=南千歳=は「どういう思いで参拝しているのかを書いてほしい。順位を決めるものではないし、入選人数も決めてないが、できるだけ数多く載せたい」としている。


 完成した記念誌は9月の式典で配布予定。そのほか、絵馬制作や記念グッズ作りなども進めていくという。

 記事・写真 松井明子


 

菊屋稲荷社の思い出エッセー募集

同社にまつわる思い出やエピソードを盛り込んだエッセーや作文を募集している。

文字数 400字以内。

書式 指定の用紙か適宜自由な用紙。指定用紙がほしい人は要問い合わせ。

応募締め切り 3月31日(月)当日消印有効。

応募方法 応募作品に作品タイトル・住所・氏名・年齢・性別・職業・電話番号を明記し、〒380-0813 長野市緑町1091 菊屋稲荷社社務所「菊屋稲荷社にまつわるエッセイ募集」係に封書で郵送か直接同社務所ポストに投函(とうかん)。

 (問)宮下☎︎090・2540・3250、(メール) kikuyainari@gmail.com


2025年3月1日号フロント

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