徳間にシェアハウスオープン

児童養護施設出身の若者やひとり親家庭の居住支援

コミュニティースペースにする部屋を紹介する石黒さん。5月ごろ、入居者らと共にDIYで改装する予定
孤独の中で頑張らないでと伝えたい、         人の優しさ・温かさ味わえる場所に
運営の石黒さん

 児童養護施設や生活保護世帯などで育ち、18歳を迎えてひとり立ちする若者や、ひとり親家庭を主に受け入れるシェアハウス「nagaya」が徳間にオープンした。現在入居者を募集中で、運営者の石黒繭子さん(43)=檀田=は、「居住支援を通じて、孤独の中で頑張らないでと伝えたい。人の優しさや温かさを味わえるような場所にしたい」と話す。

 シェアハウスは、高台にある5階建ての集合住宅の一角。昨年9月に株式会社「ククリテ」(南県町)を設立した石黒さんがオーナーから借り上げた。ひとり親家庭は世帯ごとに、若者たちは2人でシェアして入居してもらう予定で9部屋ある。ひとり親が家探しをするときは、離婚やDVからの避難などで緊急を要することが多いため、すぐに生活を始められるように全室に家電を備え付けた。

 プライバシーは確保されるがほかの部屋の入居者とのつながりをつくりづらいため、孤立を生まない工夫として、1階の1部屋を入居者が共同で使えるコミュニティースペースにする。パソコンを設置して必要な情報を得られるようにし、入居者同士だけでなく、地域住民やこの活動に関心のある人がつながれる場所にもしていきたいという。

シェアハウス「nagaya」の入る集合住宅

 石黒さんは名古屋市出身。大学卒業後、愛知県内の社会福祉協議会や保育園で勤め、30歳の時に発達障害を学ぶために大学院に進学。修了後の2011年から飯綱町のNPO法人に勤務し、就学前から18歳までの障害児の支援や障害児を育てる親のサポートをしている。

 障害児の子育てで苦しみ、絶望の中にいた母親たちが生き生きと力を取り戻していく姿をそばで見続け、「大丈夫だよ」と寄り添い支える存在の大切さを実感してきた。一方で、石黒さんが小学校低学年から支援してきた若者が自立の年齢を迎える。何の助けもなく社会に出されたら立ち行かなくなる。だから、まずは自分の目の前にいる子の暮らしを支える場所をつくりたい—という思いがある。

「一人分のカレーの材料をイメージして買い物をするなど、本来なら家庭内で身に付くような、生きるための細かなスキルが足りていない子たちがいる。一緒に買い物に行ったり、日常の困り事の相談に乗ったりしたい」と考えている。

 3月20日(日)まで、コミュニティースペースの改装や設置するパソコンなどを購入する資金集めのためのクラウドファンディング(CF)を実施している。また、18日(金)と20日の20時から、石黒さんがゲストを迎えてオンラインのトークライブイベントを開催する。参加無料。活動への支援とイベントの参加方法は、CFサイト「キャンプファイヤー」に。キーワード(「支えながら生きる長屋のような団地を作りたい」)で検索。

 (問)ククリテ (メール)shacho@kukurite.co

 記事・写真 松井明子


2022年3月12日号フロント