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弟は僕のヒーロー

=1時間42分

長野ロキシー(☎︎232・3016)で公開中

(C)2019 PACO CINEMATOGRAFICA S.R.L. NEO ART PRODUCCIONES S.L.

ダウン症の弟と共に 成長していく兄の姿

 3月21日は国際デーの一つ「世界ダウン症の日」。2015年、この日に合わせて、イタリアの高校生がダウン症の弟と一緒に撮影したショートムービーをユーチューブに公開したところ大反響を呼び、ベストセラー小説にもなった。「弟は僕のヒーロー」は、この兄弟の実話の映画化だ。

 イタリアの小さな田舎町にすむ5歳のジャック少年に、待望の弟ジョーが生まれた。だが生まれた子どもはダウン症と診断され、両親が悩んだ末にジャックに告げたのは弟が「スペシャルな存在」だということ。

 弟はスーパーヒーローだと信じたジャックは、面倒見の良い兄として仲良く成長するが、次第に弟を恥ずかしく思うようになってゆく。逃れるように都会の高校に進学したジャックが恋心を抱いた女子高生に弟の存在を隠すためについたうそが、思いがけない事態を引き起こしてしまう。 

 ジョー役は子役ではなく実際にダウン症の少年が演じている。演技を超えた無邪気でピュアな笑顔に、「障害とは何か」を己の心に問わずにいられない。

 「世界ダウン症の日」の今年のスローガンは「思い込みを 想いなおそう。」これまで抱いていたダウン症への思い込みを、あっという間に覆すほど、ジョーの人間性と彼を取り巻く人々の優しさに心を揺さぶられる。

 この映画を魅力的にしているのが、障害を描くと同時にジャックの成長の物語でもあること。思春期特有の見えや残酷さに傷つき、そこから本当に大切なものを学び取ってゆくジャックの姿がみずみずしい。

 さらに素晴らしいのが、子どもたちの個性を認め守り抜こうとする両親の深い愛情だ。問題があれば即座に家族会議を開いて、隠し事をせず対処する。障害のある子どもを持つことの葛藤や困難を明るく乗り越えてゆく両親の生きざまは、子育て中の親の背中を押してくれる。

 脚本の制作には原作者も参加して、登場人物を忠実に再現したそうだ。エンドロールで本人たちも登場する。

 日本映画ペンクラブ会員、ライター


2024年03月23日号掲載

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