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市芸術館と信州新町でパステル画展開催

中村久美子さん

まさに「生きている」ように描く

 骨格の緻密なデッサンを作品のベースにしていることから生まれる動物たちのリアリティーとソフトパステルを用いた色彩豊かな表現力—。

 長野市を拠点に「パステル絵描きくもざる」の名前で活動するパステル画家中村久美子さん(34)の作品の特徴と魅力を、信州新町美術館学芸員の前沢朋美さん(51)はこう語る。同美術館は7月22日(土)から、中村さんの作品100点を展示する特別展「パステルで描く動物たち」を開く。

 鹿児島市生まれ。公立高校美術科から、鹿児島大学教育学部へ。主に油彩画を学んだ。飲食店に就職して2年が過ぎた頃、近所で見かける黒い野良猫を描き留めたいと思い立ち、それまで「使いこなせない」と買ったままになっていたパステルで、はがきサイズの作品を仕上げた。これをきっかけに、カメラに種々雑多に撮りためてあった動物たちをパステルで描き、地元のアートイベントで、子どもが買える値段をつけて販売した。この時純粋に「『かわいい』『すごい』とお客さんがかけてくれる言葉がうれしかった」。そこからは、「生きた動物」をテーマにパステルで本格的に作品制作を開始。2019年に結婚し、夫の実家のある長野市に引っ越してきてからも小規模な個展を開いてきた。

 作品の最大の特徴は、描かれたすべての動物に生きたモデルがいることだ。その多くは動物園の動物たち。ネットではたくさんの動物の画像を見られるが、自分が実際に出合った動物しか描かない。「動物の呼吸や鼓動、体温や柔らかな毛並みを感じられるような、まさに目の前で命を持って生きていると思えるような動物を描くのが目標」と話す。

 中村さんにとっては初の美術館での大規模展。「わかりやすい絵なので、子どもも大人も動物園に行くようなつもりで気軽に来てほしい」と笑顔で話した。

 市は、本展に先駆けるプレ展として「わが街ながのゆかりの作家展」を市芸術館1階展示サロンで開催。7月3日(月)まで、中村さんの作品21点を展示紹介している。10時から17時で入場無料。

 信州新町美術館特別展は11月5日(日)まで。8月14日を除く月曜休館。開館時間は9時から16時半。入館料は一般500円、高校生300円、小中学生200円。土曜日は小中学生無料。

 (問)同美術館☎︎262・3500

 記事・写真 中村英美


2023年6月24日号フロント

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