宿泊施設「さぎり荘」の運営会社 サフォーク自社生産を開始

施設で出す羊肉全て自前で 「信州新町産の羊」再認識を

今年生まれた子羊の様子を見る小山所長(手前)ら
飼育員を雇用 牧草も栽培へ

 信州新町にある市有の温泉宿泊施設「さぎり荘」の運営会社が、高級食用羊「サフォーク」の飼育を始めた。将来は施設で出す羊肉の全てを自前でまかなうことを目指している。

 同町で羊肉を提供する飲食店や販売店の多くが輸入羊肉を使っているという中、さぎり荘は「新町の肉を出し続けたい」(小山宙軌(ひろき)所長=38)と町内産サフォークも扱ってきた。高価だが、やわらかく、うま味が強いのが特長だ。

 さぎり荘が畜産事業に参入したのは、農家が少なく後継者難にある「信州新町産の羊」を守り、サフォークを提供し続けていくためだ。さぎり荘がこれまで仕入れていたのは町内最大の飼育農家、峯村元造(もとなり)さん(57)。400頭を育ててきたが、共に畜産に従事してきた両親が高齢になって自身の作業負担が増えたため、頭数を減らすことを考えていた。峯村さんは羊肉の自社生産を決断した小山さんに協力し、昨年9月、50頭をさぎり荘に譲った。

 さぎり荘はほかからも羊を買い入れた。新たに飼育員を雇用し、近くにある市営のめん羊繁殖センターで、峯村さんの指導を受けながら飼育。今年1月から2月に子羊が生まれ、羊の数は160頭になった。

 羊肉の生産は利益を出しにくいという。肉の販売価格は高いが、餌などの飼育コストも高い。親から生まれる子羊は通常1頭で、出荷まで1年以上育てる。一度に約10頭が生まれ、半年で出荷する豚と比べ生産効率が低い。

 しかし「もうからないから—とやめてしまったら、信州新町産の羊は消えてしまう」と小山さん。「私たちの取り組みで『新町の羊』を多くの人に再認識してもらえたらうれしい」と話す。高価な輸入飼料に代わる餌を自前でまかなえるように、牧草の栽培も始める予定だ。

 飼育を軌道に乗せるため、クラウドファンディング(CF)で寄付金を募っている。月80万円ほどかかる飼料代や、寄付者に冷凍サフォーク肉などの返礼品を贈る経費に充てる。CFサイト「キャンプファイヤー」で6月26日(日)まで受け付けている。

 (問)さぎり荘☎︎264・2103

 記事・写真 竹内大介


2022年5月28日号フロント