地域住民らと共に ワイン用ブドウを初収穫

伺去の宋裕光さん 浅川ダムの残土置き場で畑づくり

ブドウの初収穫を喜ぶ宋さん
苦闘の連続も「今は感謝」

移住から4年「浅川にワイナリーを」

 県営浅川ダムの建設工事で出た残土の置き場となった約2ヘクタールの土地でワイン用ブドウ栽培に挑んできた宋裕光さん(41)=伺去=が、移住して4年の今年、ブドウの初収穫を迎えた。10月15日、これまで応援してくれた地元の人たちなど約50人と実ったブドウを採った。

 仙台市出身で、東京でソムリエとして働いていた宋さんは、ブドウ栽培やワイン醸造を学ぼうと、オーストラリアやフランス、ニュージーランド、イタリアへ。約3年間海外に滞在。「自然豊かな地に住んでおいしいワインを造りたい」との思いが強まり、ブドウ栽培をする土地探しをするうちに、長野市の「地域おこし協力隊員」の募集を見つけて応募。2018年9月、妻の千絵さん(38)、子どもと3人で長野市へ。


地域住民ら約50人が収穫を手伝った

 移住後すぐ、高山村でブドウ栽培歴40年以上の佐藤宗一さんの下で研修。栽培場所に決めた浅川の土地が土壌検査で耕作不適の結果が出ると、佐藤さんの提案で、有機物の投入による大規模な土壌改良工事を行った。19年5月には80人のボランティアと約2万6千本の苗を定植した。しかし、新芽や葉っぱが出ると害虫や鳥、イノシシの被害に遭ったり、病害に見舞われたりと、開墾地でのブドウ栽培は苦闘の連続だった。

たわわに実ったブドウ

 19年10月の台風19号災害では、千曲川の堤防決壊で長沼地区などの農地へ流出、堆積した土を畑の一部に受け入れた。搬入に伴い、定植した苗約2万本は別の畑に移し、翌20年、苗を畑に戻した。「途方に暮れる思いだったが、今は豊かな土壌にシャルドネがたわわに実っている。感謝です」

 宋さんは、無農薬・有機栽培を目指し、試行錯誤を重ねてきた。40品種で試験栽培をし、そのうち山ブドウとカベルネソービニヨンをかけ合わせた品種が収穫できるようになった。無農薬・有機栽培で育てたブドウを、野生酵母で醸造することも目指している。

 収穫した約700キロのブドウは、東御市のワイナリーに出し、来年夏、約500本を製品にする計画。「2年後には、浅川地区内にワイナリーを設立し、浅川ブランドのワインで地域の皆さんに喜んでいただきたい」

記事・写真 松原京子


2022年10月22日号フロント