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台風被害の農家 感謝のリンゴ狩り

豊野のリンゴ農家 5代目宮下直也さん

おいしいリンゴの見分け方を説明する宮下さん
発泡酒の開発で実績

 豊野で100年続くリンゴ農家の5代目、宮下直也さん(36)のリンゴ畑でこのほど、リンゴ狩りが開催された。2019年の台風19号災害で宮下さんのリンゴ畑が被害に遭った際、ボランティアや支援金を寄せてくれた人たちに復興した豊野を見てほしいと企画。県内外から50人以上が参加し、真っ赤に実ったサンふじを笑顔で籠いっぱいに詰めた。28歳の時に故郷に戻り、3ヘクタールのリンゴ畑を持つ家業の「宮下農園」に入った宮下さん。大阪の大手アパレルメーカーに勤めていた時期に培ってきた人脈や営業力、バイタリティーを発揮して、リンゴ狩りなどのイベント開催のほかにも、シードル(リンゴの発泡酒)の開発・販売にも挑戦し、天災を乗り越えた先の農業振興を目指す。

「アジアサイダーチャンピオンシップ」スペシャリティー部門で金賞を受賞した「ROCK TRIP」

 「収穫直前だったリンゴが廃棄処分になってしまい、途方に暮れていた時に、知り合いやボランティアの人たちが、ごみや泥出し、リンゴの片付けなどで助けてくれ、涙が出るほどうれしかった」と宮下さん。

 リンゴ狩りは、豊野の若手リンゴ農家や飲食店が協力した。せっかく遠方から来てくれる人たちに、魅力ある長野市周辺での滞在をもっと楽しんでほしいと、リンゴ狩り終了後にキャンプを組み込んだ。高校の先輩がオーナーを務める高山村のキャンプ場を利用し、テントや電飾の設営などは、知り合いの市内のアウトドアショップが協力してくれた。晩御飯では、著名レストランのシェフを務める友人が京都から駆け付けて、参加者の農家が持参した食材を使った料理で参加者をもてなした。

 台風19号災害の際に茨城県からボランティアに駆け付けた橋倉本季さん(37)は、宮下さんが大阪で勤務していた会社の同僚。「水害で、宮下さんがリンゴ農家を続けられるか心配したけれど、みずみずしくておいしいリンゴから復興が感じられて本当にうれしい」と笑顔で話した。

 約10年間の大阪生活で、長野の自然や食材の豊かさを再認識したという宮下さん。家業を継いでからは、リンゴを使った商品開発にも乗り出した。高い栄養価とおいしさに着目して、リンゴをドライフルーツに加工し、北アルプスの山小屋などで販売し、登山者向け栄養食としてPRした。また、全国各地の農家や醸造所と協力してシードルなどを開発、販売もしている。今年、千葉県のブルーベリー農家と、醸造所と協力して造った発泡酒「ROCK TRIP」は、アジアの品評会で金賞を受賞した。

 「豊野のリンゴをきっかけに、交流人口を増やしたい。これからもいろいろな人の協力を得ながら、農業・農家の価値を上げるアイデアで仕掛けていきたい」と思いを語った。

 (問)(メール)made.in.miyashita@gmail.com

 記事・写真 斉藤茂明


2023年12月16日号フロント

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