台風後 増えるトンボ

台風の目と一緒に 熱帯地方から移動

 世界で最もありふれたトンボといわれているのが「ウスバキトンボ」です。薄いオレンジ色で、東南アジアなど熱帯地方を中心にほとんどの国で生息しています。

 このウスバキトンボ、沖縄では別の名前で呼ばれることがあります。それは「カジフチダーマー(風吹きトンボ)」です。台風が通過した後増えるといわれているためです。

 台風は渦巻きのような形をしていますが、中心である「台風の目」には雲がないため、そこだけ雨や風が弱く、時には青空が広がることもあります。

 もし、熱帯地方のトンボが台風の目に入ったらどうなると思いますか。外は激しい雨風のため、目の外には出られず、台風と一緒に移動するしかありません。こうして遠く離れた日本まで連れてこられるのです。

 台風の目は小さく明瞭なほど、台風の勢力が強いことを表します。地球温暖化が進むと、目のハッキリした勢力の強い台風は増えると予想されています。そうなると、一度に降る雨量は増え、氾濫の危険性がある場所も広がります。

 こうした中、注目されるのが2050年の達成を目指す「タイフーンショット計画」です。この計画の柱は二つ。「台風の力を弱めること」と「台風のエネルギーを使うこと」です。

 前者は飛行機で台風の目に大量の氷をまくことで、勢力をわずかに弱める作戦です。

 後者は台風のエネルギーを使って発電するというもの。一つの台風がもつエネルギーは、世界全体の発電量の1年分にあたるという計算結果も出ているんだそうです。

 変化する気候に柔軟に対応する力が求められています。

気象予報士・防災士


2021年9月25日号掲載