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創作活動60周年 記念展開催

切り絵作家 柳沢京子さん 

道祖神を題材にした作品を紹介しながら「きりえ」について話す柳沢さん
道祖神を題材にした作品を紹介しながら「きりえ」について話す柳沢さん
「やれる限り…」尽きない制作意欲

「長野市百景」制作佳境 来年お披露目

 西尾張部の切り絵作家柳沢京子さん(80)が創作活動60周年を迎えた。12月8日まで静岡県浜松市で開いた記念展に続いて、来月1月29日(水)から2月4日(火)まで宇都宮市でも予定されている。展覧会を案内するチラシに「大学3年生の時にアルバイトで始めた『きりえ』。この手法で呼吸をするように思いの丈を刻んでいます」と記し、精力的に創作活動を続ける柳沢さんに近況などを聞いた。


 柳沢さんは佐久市出身。信大教育学部美術科の3年の時、地元テレビ局で番組宣伝用の新聞広告を制作するアルバイトを始めた。


 当時職場にあったコピー機は、コピーを取るごとに一面真っ黒な用紙が残った。ある時、普及し始めたばかりのカッターでそれを切ってみると、思いのほか面白いデザインができた。しかも、木版画よりも制作時間が短く、目を引く作品になることが分かり、以降、蘇民将来や野沢温泉の鳩車、丸ナスなどを題材に独自の切り絵創作に夢中になった。


 作品が載った新聞を見た地方公共団体や企業の担当者から観光ポスター制作の依頼が舞い込むように。ある企業の役員が「どんな小さなものでもあなたの作品と分かる。これで一生食べていけると思う」と褒めてくれた。「私にはこれだと伝えられたような気がした」と柳沢さんは振り返る。


 1968年、同窓で2年上の先輩と結婚、同時に2人でデザイン事務所を設立する。間もなく双子を授かり、子育てをしながら切り絵制作の仕事をする多忙な日々が始まった。わが子の小学校入学祝いに贈ろうと作った「一茶かるた」が大きな反響を集め、自身の代表作として広く知られることとなる。


 84年、40歳の時、千葉県船橋市の美術館で、初めて入場料を取る個展を開催。それからはドイツや米国、フランス、日本各地で多数の個展やグループ展を開いてきた。「いつもその時その時、精いっぱいの作品づくりをした」


 週刊長野で月1回、「何にも増して」を連載中。来年2月の「長野灯明まつり」には、善光寺境内に一面が畳一畳ほどもある「夢大灯籠」を飾る。今回は「母子像」をテーマに四つの場面を作る。幼い子への虐待のニュースが絶えないことに憤り、「自分の子どもをぎゅっと抱き締めて育てないでどうするの」という思いを込める。近年取り組んできた「長野市百景」の制作も佳境で、来年にはお披露目の展覧会の計画も具体化してきた。


 「自分で始めたことなので、どこまで追究できるかは私次第。視力の問題やら80歳になるといろんなことがあるけれど、やれる限りやろうと思ってやっている」。尽きない制作への意欲を笑顔で話した。

 記事・写真 中村英美


2024年12月14日号フロント

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