「共感のネットワークを」つながり軸にボランティア

「街中賑わい研究所」代表・丸田藤子さん

久しぶりに集まり、お薦めの本を紹介し合う「街中賑わい研究所」のメンバー。左から2人目が丸田さん

一人暮らしのお年寄り・若者へ「元気でいるか?」プロジェクト

 長野市の中央通り沿いにある特産品や青果物を販売する「表参道まちの駅」。その奥の小上がりに「街中賑(にぎ)わい研究所」はある。2005年の開設以来、ボランティア仲間が集い、その時の課題に対応した活動をしてきた。しかし、2年前からのコロナ禍で毎週木曜日の定期的な集まりも休止状態に。仲間が顔を合わせる機会は減っているが、同研究所代表の丸田藤子さん(83)=上松=は、「共感のネットワークを広げることが大切」とし、アイデアを出し合い、人と人のつながりを軸にした活動を展開している。

 2月中旬、街中賑わい研究所のメンバーら5人が「表参道まちの駅」に久しぶりに集まり、情報交換した。最近取り組んだのは、「いるか?」プロジェクトだ。コロナ禍で、外出せずに孤独感を味わったり、人間関係が疎遠になったりしている一人暮らしのお年寄りや若者に「元気でいるか?」と年賀状を出し、後で電話もして温かい言葉をかけて励ます活動だ。丸田さんは200枚の「元気でいるか?」年賀状を出した。

コロナ禍の中の北京冬季五輪について、「わくわく感が少ない。複雑な思い」と話す丸田さん

 丸田さんがボランティア活動の礎にしているのは、南米の先住民に伝わる「ハチドリのひとしずく」という説話だ。ひとしずくの水をくちばしに入れ、たった一羽で山火事に立ち向かうハチドリ「クリキンディ」のように、「今、私にできること」をやろうと、自分たちの活動を「ハミングバードプロジェクト クリキンディ作戦」と名付けた。「いるか?」プロジェクトも「作戦」の一環だ。

 7年前には、振り込め詐欺被害防止の啓発活動を始めた。「だまされる年寄りをなくそうという目的だったが、詐欺に遭う若者の現実も知った。今は、若者をどう守っていくかがテーマになっている」。丸田さんは、若者に目を向け、戦争体験など自分たちの経験を若者に伝え、どう共感のネットワークを広げていくかを考えている。

 2人の娘に恵まれ、専業主婦だった丸田さんは35歳の頃、PTA母親文庫の役員になったのを機に、女性の地位向上を目指す国際女性教育振興会に入会。44歳で同振興会の海外研修に参加。1998年の長野冬季五輪では3万人以上のボランティアを調整するコーディネーターを務めた。

 「時代のニーズは何なのかを読み取ることが大切。その上でいま私にできることを広めたい」。「アナログ人間」を自認しつつ、「トライ・アンド・エラーのエラーを経験に置き換えること」をモットーにする丸田さんの前向きの姿勢が新鮮に映る。

 記事・写真 松原京子


2022年2月26日号フロント