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元信更小中学校児童生徒の絵画作品展

小中学校がなくなった信更町で 

かつての信更地区の子どもたちの作品を楽しむ来場者
かつての信更地区の子どもたちの作品を楽しむ来場者
共通の学校の思い出振り返って

授業で育てた菊、校舎の前の花、笑顔の自画像

 昨年3月、信更小学校の閉校を最後に小中学校がなくなった信更町。子どもたちの声が聞こえなくなった地域に「少しでも明るい話題を提供したい」と、「思い出の信更小中学校児童生徒絵画作品展」が、信更公民館分室などが入る市複合施設「星空の郷(さと)たかの」(信更町高野)で開かれている。

 企画した市高齢者活躍支援課は「地元の人はもちろん、大勢に信更町にゆかりのある人たちの作品を楽しんでほしい」と来場を呼び掛けている。


 作品展では1986(昭和61)年から2014年に、信更地区にあった信田小、信田小高野分校、更府小、信更中学校の児童、生徒だった56人が描いた65点を展示。作品は信濃教育博物館(旭町)が収蔵する県内小中学校、支援学校の児童、生徒の「永年保存作品」。

 この中から信更地区関係分を借用した。


 授業で育てた菊やへちま、大豆、小学校の校舎や校舎の前に咲く花、北アルプスの山並みをそれぞれ存在感たっぷりに描いた水彩画、笑顔の自画像やリコーダーを吹く友達の顔を大胆に切り取った版画などの作品が並ぶ。このうち「昔のしょいこ」を描いた作品の前では、訪れた地域の年配の人たちが「懐かしいね」と薪を背負った思い出話に花を咲かせた。


地元の人たちの作品も展示している
地元の人たちの作品も展示している

 同施設は、1999年に閉校となった信田小高野分校跡地に2002年に新築オープン。1階は高齢者を対象とした信更交流ふれあい広場、2階は信更公民館分室として整備した。


 当初は多くの利用者でにぎわったが、コロナ禍以降は、高齢化などの影響もあいまって減少が続く。


 23年からは、使用されていなかった2階の7室と廊下を展示スペースとして活用。地元アマチュア画家や写真家、切り絵作家ら7人が手がけた計340点余りの作品を展示している。沼田佐久雄さん(油彩)、田中武康さん(同)、若林吉彦さん(同)、高野正人さん(水彩)、村田隆夫さん(写真)、石坂尚さん(切り絵)、故・日詰富士子さん(同)の7人が部屋ごとにまとまった作品を展示している。


 各室の作品には、分校出身の高野信子さん(78)が「何となく地域落ち込む雰囲気を絵により開け心明るく」などの短歌を添えている。


 今回の企画展は、地元在住で施設を管理する同課の日詰正一さん(78)が、作品を展示する元美術教諭の若林さんの提案を受けて企画した。「学校がなくなり、過疎化で閉塞感が強まる中で、地域の人たちに共通の学校の思い出を振り返るきっかけにしてもらえればうれしい」と日詰さん。「一人でも多くの人に訪ねてもらい、地域の活性化の一助にしたい」と力を込めた。


 8月29日(金)まで。毎週水、金曜日開館。開館時間は9時から16時。入場無料。

 (問)同施設☎︎299・2011


記事・写真 中村英美


2025年2月22日号フロント

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